出来高上位10銘柄に映る全面安の資金移動 NTT株式会社(9432)が首位

対象日:2026年9月2日 | 情報確認:2026-09-02 17:39 JST
2026年9月2日(水)東証プライム・出来高上位10銘柄
NTTが2億4,234万株で首位。日産自動車とソフトバンクグループは6%超下落しました。一方、株数ではなく売買代金で見ると、資金が最も大きく交差したのはフジクラでした。
- 先に要点
- 出来高上位は「人気銘柄」ではなく、売買が交差した場所
- 【市場で起きたこと】9月2日の出来高上位10銘柄
- 【MARKET EYE分析】株数首位はNTT、資金額首位はフジクラ
- 【MARKET EYE分析】通信2社の底堅さは守りの需要を映す
- 【MARKET EYE分析】日産自動車とトヨタ自動車、原油高と利益確定
- 【MARKET EYE分析】電力・鉄鋼は大商いでも下げが限定的
- 【MARKET EYE分析】金融2社は金利上昇の恩恵とリスクを両方見る
- 【MARKET EYE分析】フジクラとソフトバンクグループに集中した成長株売り
- 【MARKET EYE分析】全面安を生んだ原油・金利・地政学の連鎖
- 次の取引日に確認する3シナリオと注意点
- 情報源・参考資料
先に要点
NTT株式会社(9432)が2億4,234万8,800株。低い株価と高い流動性により、株数ベースでは2位以下を大きく引き離しました。
合計出来高は6億7,600万5,500株で、東証プライム全体の約28.0%。大型株へ売買が集中しました。
ソフトバンク株式会社(9434)だけが小幅高。日産自動車株式会社(7201)とソフトバンクグループ株式会社(9984)は6%超安でした。
出来高が多いことは「買われた」ことを意味しません。終値、騰落率、日中高安、売買代金を組み合わせて確認します。
対象は東京証券取引所プライム市場の普通株です。順位、終値、前日比、出来高はYahoo!ファイナンスの2026年9月2日16時59分更新値、売買代金と日中高安はSBI証券の17時16分表示値で照合しました。Yahoo!ファイナンスは東証銘柄の取引値をリアルタイム、出来高・売買代金を最低15分遅れと案内しています。本記事は大引け後に最終順位を確認しており、取引時間中の暫定順位ではありません。
出来高上位は「人気銘柄」ではなく、売買が交差した場所
出来高が多い銘柄は、上昇しやすいのでしょうか。
出来高は成立した株数であり、上昇の方向を示す数字ではありません。買い手と売り手が同数だけ存在して初めて取引が成立するため、大幅安でも出来高は増えます。
9月2日は日経平均が1,889.70円安、TOPIXが100.26ポイント安となり、東証プライムの値下がりは1,436銘柄、値上がりは100銘柄でした。全面安の環境では、出来高上位に「押し目買いが入った銘柄」と「損失を限定する売りが集中した銘柄」が同時に並びます。ランキングだけを見て強弱を決めず、終値が前日より上か下か、安値から戻したか、高値圏で終えたかを順に見ます。
もう一つ重要なのが株価水準です。175円台のNTTを100株買う金額と、5,000円台の株式会社フジクラ(5803)を100株買う金額は大きく異なります。同じ1万株でも動く資金量は違うため、出来高は市場参加の広さ、売買代金は実際に交差した資金規模を測る指標として使い分けます。今回のランキングは、この違いが鮮明に出た一日でした。
【市場で起きたこと】9月2日の出来高上位10銘柄
終値175.2円(-0.23%)
出来高2億4,234万8,800株
売買代金423億5,793万円
終値241.3円(+0.08%)
出来高7,627万2,300株
売買代金184億1,119万円
終値317.6円(-6.29%)
出来高5,869万4,600株
売買代金188億4,956万円
終値564.1円(-1.43%)
出来高5,326万600株
売買代金297億7,815万円
終値159.0円(-1.55%)
出来高5,115万8,800株
売買代金81億6,952万円
終値691.5円(-1.26%)
出来高4,948万2,000株
売買代金339億3,989万円
終値3,684円(-0.43%)
出来高4,306万5,400株
売買代金1,583億4,767万円
終値5,090円(-3.93%)
出来高4,033万2,200株
売買代金2,071億8,898万円
終値4,924円(-6.42%)
出来高3,459万7,500株
売買代金1,719億360万円
終値3,133円(-3.39%)
出来高2,679万3,300株
売買代金841億3,129万円
上位10銘柄の合計出来高は6億7,600万5,500株、合計売買代金は約7,730億8,000万円でした。東証プライム全体の売買高24億1,905万株に対して約28.0%、売買代金8兆344億円に対して約9.6%です。株数の集中度が資金額の集中度より約3倍高いのは、NTT、ソフトバンク、ソニーフィナンシャルグループなど低位の大型株が上位に入ったためです。
上位10銘柄のうち上昇はソフトバンクだけで、9銘柄が下落しました。ただし、下げ率は0.23%安から6.42%安まで大きな差があります。通信と銀行は相対的に底堅く、自動車とAI・成長株は弱いという資金移動が、ランキングの中にも表れました。
【MARKET EYE分析】株数首位はNTT、資金額首位はフジクラ
出来高だけならNTTが圧倒的な首位ですが、売買代金ではフジクラが約2,072億円で上位10銘柄中の首位でした。続いてソフトバンクグループが約1,719億円、三菱UFJフィナンシャル・グループが約1,583億円です。この3銘柄だけで約5,374億円となり、上位10銘柄の売買代金の約7割を占めます。市場で大きな資金がどこを通過したかを知りたい場合は、この順番の方が実態に近くなります。
NTTは前日終値175.6円に対し175.1円で始まり、日中高値175.8円、安値173.7円、終値175.2円でした。2億株を超える取引が成立しても、値幅は2.1円に収まっています。流動性が厚く、売りと買いが多数交差しながら価格変化が小さかった例です。一方、フジクラは前日終値5,298円から5,198円で始まり、安値5,048円、終値5,090円。巨額の売買代金を伴って3.93%下げており、利益確定や持ち高圧縮の売りを買い手が受け止めた構図と考えられます。
出来高ランキングを日々比較する場合は、株式分割や売買単位変更にも注意します。分割後は1株の価格が下がり、同じ投資金額でも取引株数が増えやすくなります。単日の順位を企業価値の順位と混同せず、売買代金、時価総額、平常時の出来高と並べて見ることが必要です。
【MARKET EYE分析】通信2社の底堅さは守りの需要を映す
NTTは0.23%安、ソフトバンクは0.08%高でした。日経平均が2.85%下げた日としては相対的に非常に底堅い値動きです。通信サービスは景気が悪化しても利用が急減しにくく、毎月の契約収入が見通しやすいと評価されます。株価水準が低く、個人投資家が少額から売買しやすいことも出来高を押し上げる要因です。
ただし、通信株を「安全」と決めつけることはできません。設備投資、料金競争、規制、金利上昇による配当株の相対的魅力低下などのリスクがあります。ソフトバンクは高値242.6円、安値240.2円、終値241.3円で、前日比プラスを保ったものの上値を追い続けたわけではありません。NTTも安値からは戻しましたが前日終値を回復できませんでした。
全面安の日の通信株は、市場から資金が完全に退出したのか、守りの業種へ移動したのかを判断する手がかりになります。翌日に指数が反発して通信株が横ばい、半導体や自動車へ資金が戻ればリスク選好の回復が考えられます。反対に、指数が続落し通信株の相対優位が続くなら、防御姿勢が残っていると読みます。
【MARKET EYE分析】日産自動車とトヨタ自動車、原油高と利益確定
日産自動車は6.29%安で3位、トヨタ自動車は3.39%安で10位でした。自動車株は円安が輸出採算を支える一方、原油高による物流費や素材費の上昇、消費者の燃料負担、世界景気への不安が逆風になります。9月2日は原油高と日米金利上昇が同時に進み、円安の恩恵よりコストと需要の懸念が優勢になりました。
日産自動車は8月31日、本田技研工業株式会社(7267)と次世代車向け電子制御ユニットと基盤ソフトウェアを共通開発する契約を締結したと発表しました。2029年以降に発売する主力車種への搭載を目指す長期の取り組みで、直近の損益へ直ちに寄与する材料ではありません。発表後に買われた局面を経て、9月2日は前日終値338.9円から317.6円へ下落しました。当日の下げを提携発表そのものの評価と断定せず、前日までの上昇に対する利益確定と全面安を重ねて考えるのが妥当です。
トヨタ自動車は前日終値3,243円から3,158円で始まり、高値3,190円、安値3,121円、終値3,133円でした。寄り付きから安く、日中も前日終値を回復していません。次は原油とドル円だけでなく、米国販売、関税、電動車投資、部品供給を確認します。同じ自動車でも商品構成、地域別販売、為替感応度、財務体力が異なるため、業種一括ではなく企業ごとに分ける必要があります。
【MARKET EYE分析】電力・鉄鋼は大商いでも下げが限定的
東京電力ホールディングスは1.43%安、日本製鉄は1.26%安で、日経平均やTOPIXより下落率が小さくなりました。東京電力ホールディングスは燃料価格、電力料金、原子力発電所、規制、財務負担など固有の材料が多く、単純なディフェンシブ株ではありません。9月2日は高値567.5円、安値547.1円と日中値幅が20円を超えましたが、終値564.1円まで戻しています。安値で買いが入ったことは確認できますが、前日比では下落です。
日本製鉄は原料炭や鉄鉱石、エネルギー価格、世界の鋼材需要、為替、海外事業の影響を受けます。終値691.5円は安値677.9円を上回り、こちらも売り一辺倒ではありませんでした。原油高はコスト増につながる一方、資源・素材株がインフレ局面の実物資産として選ばれることもあります。反対方向の材料があるため、価格転嫁力と製品マージンの確認が欠かせません。
この2銘柄の出来高上位入りは「上昇期待」だけでは説明できません。市場急変時には、値動きの大きい大型株へ短期売買が集まり、投資家の保有調整も増えます。翌日に出来高が急減して価格だけ戻る場合は短期の投げ売り一巡、出来高を保ったまま安値を更新する場合は売り圧力継続と読む余地があります。
【MARKET EYE分析】金融2社は金利上昇の恩恵とリスクを両方見る
ソニーフィナンシャルグループは1.55%安、三菱UFJフィナンシャル・グループは0.43%安でした。特に三菱UFJフィナンシャル・グループは売買代金が約1,583億円に達しながら下げが小さく、銀行業が全33業種の中で相対的に底堅かった流れと一致します。日本銀行の高田創審議委員が物価上昇圧力に応じた機動的な利上げの必要性を示し、日本の長期金利が上昇したことが銀行の利ざや改善期待を支えました。
金利上昇が金融株へ必ずプラスになるわけではありません。銀行は貸出金利の上昇で収益改善が期待される一方、保有債券の価格下落、資金調達コスト上昇、景気悪化による貸倒れ増加がリスクです。保険会社は運用利回り改善の恩恵がある一方、保有資産の評価変動や保険契約の動向を受けます。株価が相対的に強かった理由と、将来利益が確実に増えるという判断は分ける必要があります。
三菱UFJフィナンシャル・グループは高値3,713円、安値3,648円、終値3,684円でした。前日終値3,700円には届かなかったものの、安値から36円戻しています。次は日本10年国債利回りが3%台に定着するか、イールドカーブ全体がどう変化するか、銀行株が出来高を伴って高値を切り上げるかを確認します。
【MARKET EYE分析】フジクラとソフトバンクグループに集中した成長株売り
フジクラは3.93%安、ソフトバンクグループは6.42%安となり、両社の売買代金は合計約3,791億円でした。AIデータセンター、光ファイバー、半導体投資などの成長期待で上昇してきた銘柄は、金利上昇時に利益確定が出やすくなります。将来の利益を現在価値へ換算する際の割引率が上がり、遠い将来の成長に付けていた評価が縮みやすいためです。
ソフトバンクグループは9月2日、SB Energyが新規株式公開に向けた登録届出書を米証券取引委員会へ提出したと発表しました。上場が実現すれば保有資産価値の可視化につながる可能性がありますが、株式数や価格帯は未決定です。当日の株価は前日終値5,262円から4,924円へ下落しました。会社発表があった日に下げたからといって、発表内容が否定されたと直結させるのは適切ではありません。原油高、米金利上昇、世界的なハイテク株安という大きな流れが同時にありました。
フジクラは売買代金首位で、高値5,239円、安値5,048円、終値5,090円でした。ソフトバンクグループは高値5,056円、安値4,911円、終値4,924円で、安値に近い水準です。翌日は米長期金利とナスダック、半導体株、日経225先物を確認し、反発が出来高を伴うかを見ます。反発しても出来高が細れば、短期の買い戻しにとどまる可能性があります。
【MARKET EYE分析】全面安を生んだ原油・金利・地政学の連鎖
9月2日の日本株は、米国とイランの緊張に伴う原油高、米国と日本の長期金利上昇、海外株安が重なりました。Reutersによると、アジア時間のブレント原油は1バレル95ドル台、米10年債利回りは4.8%台へ上昇し、アジア株全体にも売りが広がりました。原油高は日本企業の燃料費、電力費、物流費を増やし、インフレを長引かせます。インフレが続けば中央銀行が金利を高く保つとの観測が強まり、株式の評価を押し下げます。
この連鎖が銘柄ごとに異なる形で表れました。通信は収入の安定性が意識され、銀行は金利上昇の恩恵が支えとなりました。自動車はコストと世界需要への懸念、フジクラとソフトバンクグループは高い成長期待と金利感応度が重荷になりました。出来高上位10銘柄は、市場全体の材料が企業の事業構造へどう伝わったかを比較する縮図です。
ただし、1日の相関を恒久的な関係と考えないことが重要です。地政学の緊張が緩和し原油と金利が低下すれば、9月2日に売られた成長株や自動車株が反発する可能性があります。反対に、原油高が続いても企業が価格転嫁できる、円安で輸出利益が増えるなど別の材料が勝つ場合があります。翌日の値動きで仮説を更新します。
次の取引日に確認する3シナリオと注意点
原油と米長期金利が低下し、米ハイテク株と日経225先物が反発。日産自動車、フジクラ、ソフトバンクグループが出来高を保ちながら安値を切り上げる場合です。
指数は不安定でも、通信と金融が相対的に底堅く、自動車と成長株は戻りが鈍い場合です。守りと攻めの資金移動が続いていると考えます。
中東情勢が悪化し、原油と金利が再上昇。上位銘柄が大商いのまま9月2日安値を割り込む場合は、売り圧力が続いている可能性があります。
確認する順番は、原油と地政学、米10年債利回り、ドル円、日経225先物、寄り付き後30分の出来高です。個別銘柄では、前日安値を維持できるか、終値が寄り付き値を上回るか、出来高が増えて上昇しているかを見ます。大幅安の翌朝は成行注文が集中し、寄り付き価格が大きく飛ぶことがあります。価格だけでなく板の厚さと注文方法にも注意が必要です。
出来高上位は注目度の入口であり、売買推奨の一覧ではありません。信用取引では値幅拡大により追加保証金が発生する可能性があり、短時間の反発を底打ちと断定するのは危険です。企業IRの発表時刻も確認し、大引け後の発表を当日の値動きの原因として扱わないようにします。
投資判断上の注意
本記事は2026年9月2日の市場データと公開情報を整理したもので、将来の価格や投資成果を保証しません。出来高、売買代金、騰落率は役割が異なります。単一の順位だけで判断せず、企業の業績、財務、開示、許容できる損失を確認してください。
市場全体の大引けは9月2日の日本株大引け、11時30分までの変化は9月2日の日本株前場引け、取引開始前の原油と金利の前提は9月2日のMARKET EYE朝刊で確認できます。
最終確認:2026年9月2日17時39分(日本時間)。対象は東証プライム市場。株価は15時30分の終値、順位は16時59分更新、売買代金と日中高安は17時16分表示を使用しました。出来高・売買代金には情報提供元が案内する最低15分の表示遅延がありますが、大引け後の最終値として複数画面で一致を確認しています。
情報源・参考資料
- 一次情報 日本取引所グループ「株式・債券市況」
- 一次情報 日本銀行「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(高田審議委員)
- 一次情報 本田技研工業「日産自動車と次世代SDVのECU・ソフトウェア共通開発契約」
- 一次情報 ソフトバンクグループ「SB EnergyのIPOに向けた登録届出書」
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス「日本株ランキング(出来高・東証プライム)」
- 補足情報 SBI証券「国内株式ランキング・出来高上位」
- 補足情報 Reuters「Global markets wrapup, September 2, 2026」
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