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成行注文と指値注文の違い|初心者はどう使い分ける?

MARKET EYE 編集部 2026.08.24 15:38 ACADEMYの記事一覧を見る →
成行注文と指値注文の違い|初心者はどう使い分ける?
MARKET EYE ACADEMY|基礎講座 2

注文画面の「成行」と「指値」は、どちらを選ぶかで買える価格や数量が変わります。成行は売買価格を指定しない注文、指値は買う上限・売る下限を指定する注文です。成行でも必ず売買できるわけではなく、指値でも指定した値段ぴったりで成立するとは限りません。

この講座では、日本株の現物取引を想定し、同じ板に1,000株の注文を出す計算例で違いを確かめます。用語を覚えるだけでなく、発注後に見る画面と、注文が一部だけ成立したときの整理方法まで扱います。

数値例について:本文の株価・数量・損益は、編集部が説明用に作成した架空の数値です。特定銘柄の実績や売買推奨ではありません。制度の参照先は末尾に掲載しています。本文確認・改訂:2026年9月18日。

1.成行と指値の違いを、買い・売りで分ける

価格条件と、発注前に受け入れる不確実性
注文 指定する条件 決まっていないこと
買い成行 価格を指定せず買う 実際の買値・成立数量
売り成行 価格を指定せず売る 実際の売値・成立数量
買い指値 指定価格以下で買う 成立するか・何株成立するか
売り指値 指定価格以上で売る 成立するか・何株成立するか

たとえば1,005円の買い指値は「1,005円を必ず支払う」という意味ではありません。条件が合えば1,001円で買える場合もあります。反対に1,005円の売り指値では、1,001円しか払わない買い手には売れません。買いの上限と売りの下限を取り違えないことが出発点です。

また、価格条件と投資の安全性は別です。指値で予定どおり買えても、その後に株価が下がれば損失になります。成行で売れたとしても、想定より安い価格であれば損失額が大きくなることがあります。注文方法だけで利益や損失の上限が決まるわけではありません。

迷ったときは、発注前に「この価格を超えるなら買わない」のか、「価格がずれる可能性を受け入れて売買の成立を優先する」のかを書き分けてください。どちらも受け入れられないなら、その時点では注文を見送る選択もあります。

2.現在値と板を読み分ける

現在値は直前に売買が成立した価格です。板は、各価格に並ぶ売り注文と買い注文の状況を示します。スーパーの値札とは違い、画面に現在値1,000円と表示されていても、次に1,000円で買えるという約束ではありません。

買うときに注目するのは売り側の価格と数量、売るときは買い側です。安く売りたい注文、高く買いたい注文が優先されます。同じ価格では通常、先に出た注文が優先されます。ただし寄り付きなどには例外があるため、早朝に注文すれば常に最優先になるわけではありません。制度上の原則はJPX「価格優先原則」で確認できます。

板を見る際は、最も近い価格だけでなく、自分の数量を満たすまでにどの価格帯へ進むかを考えます。100株の注文では十分に見える板でも、1,000株を一度に買えば別の結果になります。「板が厚い・薄い」は、自分が売買する数量との関係でも変わります。

なお、板は注文時点まで固定されません。他の投資家の売買や取消により変化します。スクリーンショットの数量から計算した結果は、その条件が続く場合の試算です。実際の約定明細と一致する保証はありません。板の上部だけが表示されている画面なら、見えていない価格帯もあると考えます。

3.1,000株の成行買いを計算する

ここからは通常の連続売買中で、他の注文の追加・取消、取引停止、特別気配などがなく、表の売り注文だけに順番にぶつかると仮定します。税金と手数料は含めません。実際の板寄せや急変時を再現するものではありません。

架空の売り板と、買い成行1,000株の約定内訳
売り価格 数量 代金
1,001円 100株 100,100円
1,005円 300株 301,500円
1,015円 600株 609,000円
合計 1,000株 1,010,600円

平均約定価格は、1,010,600円÷1,000株=1,010.6円です。1,001円の売り注文は100株しかないため、全株を1,001円で買う計算にはなりません。各価格を単純平均するのでもなく、数量で重みを付けて求めます。

もし全株を1,001円で買えると見積もっていたなら、想定代金は1,001,000円です。今回の代金との差は9,600円になります。このように、想定と実際の約定価格のずれが注文数量全体の金額にどう響くかを確認すると、数円の違いを軽く扱いにくくなります。

数量を100株にした同じ条件では、代金は100,100円、平均は1,001円です。ただし「100株ずつ10回に分ければ全部1,001円で買える」とは言えません。最初の100株を買った後に同じ価格の売り注文が補充されなければ、次の注文は別の価格と向き合います。分割は価格を保証する方法ではありません。

平均約定価格は確認のための計算値です。証券会社が画面に表示する取得単価には、手数料や端数処理など別の計算が関わる場合があります。税務上の取得価額と混同せず、価格ごとの数量は約定明細で確かめてください。

予算との照合にも同じ計算を使えます。株の購入代金の上限を1,005,000円と決めていたなら、この成行例の1,010,600円は予算を5,600円超えます。最良の売り価格だけを見て「予算内だ」と判断せず、数量全体で確かめる必要があります。一方、1,005円で1,000株の買い指値なら、全株が上限価格で成立した場合の株の代金は1,005,000円です。ただし別途費用は含まないため、口座の余力には取引先の条件も反映します。

4.同じ板へ1,005円の指値を出すとどうなるか

同じ条件で1,000株を「1,005円以下で買う」と指定すると、1,001円の100株と1,005円の300株が対象になります。1,015円の600株は条件を満たさないため買いません。成立した400株の代金は401,600円、平均約定価格は401,600円÷400株=1,004円です。

残る600株はまだ買えていません。通常の指値なら有効期限や執行条件に応じて残りの注文が続きます。ここで株価が上昇すれば、そのまま成立しない場合があります。「上限価格を守れたこと」と「希望数量を全部買えたこと」は別々に確認します。

この時点で「やはり1,000株必要だ」と新しく1,000株を発注すると、すでに成立した400株に追加されます。さらに元の600株が残っていれば、それも後で成立する可能性があります。追加注文前には、保有数量と未約定数量の両方を見る必要があります。

たとえば残り600株の取消が完了し、別の注文で600株をすべて1,020円で買えたと仮定しましょう。追加代金は612,000円、合計は1,013,600円、1,000株の平均は1,013.6円です。最初の指値で400株を安く買えても、追いかけた分を合わせれば、前章の成行例より高くなる場合があります。後の相場は不明なので、最初からどちらが得かは決まりません。

注文条件にIOCを付ける場合は、即時に成立しない残数量が失効する点が通常の指値と違います。名称が似ていても扱いは同じではありません。対応する商品・注文画面・受付時間は利用する証券会社で確認してください。

5.売り注文では下限価格と損失を区別する

売る場合も、買い側の注文数量が足りなければ複数価格で成立します。架空の買い板が999円に100株、995円に300株、985円に600株あるとします。前章と同じ単純化した条件で1,000株を成行売りすると、代金は99,900円+298,500円+591,000円=989,400円、平均は989.4円です。

995円の売り指値なら、999円の100株と995円の300株、合計400株が成立します。代金は398,400円、平均は996円です。985円でしか買いたくない注文には売らないので、残り600株は保有したままになります。

ここで「995円の指値を入れたから、損失はその価格で止まる」と考えるのは誤りです。売れなかった株の価格が下がれば、含み損は拡大することがあります。指値は売買価格の条件であり、保有資産の評価損を固定する保険ではありません。

成行も、相手となる買い注文がなければ成立を保証しません。売買停止中や買い手が不足する局面を想定し、注文方法だけを頼りに保有数量を大きくしないことが大切です。撤退条件を考える際は、どの価格で判断するかに加え、想定どおり売れなかった場合の資金余力も検討します。

練習では「売ると決めた」「売り注文を受け付けられた」「400株売れた」「全部売れた」を別々の出来事として記録すると、状態の混同を減らせます。株価の予想が当たったかだけでなく、計画した数量を実際に処理できたかも振り返りの対象です。

6.寄り付き・引け・特別気配で注意すること

ここまでの計算は、注文が順次成立する通常の連続売買を想定しています。寄り付きや引けなどの板寄せでは、集まった注文から一つの約定価格を決めます。表の売り板を安い順に足す計算を、そのまま始値や終値の予測には使えません。

前日終値が1,000円でも、翌日の始値が同じになるとは限りません。夜間に注文を予約した後で新しい材料が出ることもあります。予約時に見た終値、寄り前の気配、実際の約定価格を区別して記録してください。気配値は成立済みの価格ではないため、表示の時点にも注意が必要です。

東証では15時25分から15時30分まで注文を受け付ける時間を設け、その後に大引けの板寄せを行います。この間は通常の連続売買と同じようには約定しません。また、急変時の特別気配でも即時に成立しないことがあります。詳しい条件や例外はJPX「売買成立の方法」を参照してください。

この違いは、画面に「受付済み」と表示されてもすぐに約定通知が来ない理由を考える手掛かりになります。ただし通信障害なのか、注文条件によるものなのかは表示だけで決めつけず、注文照会・市場の状態・証券会社のお知らせを順に確認します。分からないまま同じ注文を重ねると、後で複数成立するおそれがあります。

7.発注前と発注後の確認を一つの手順にする

発注前は、銘柄コード、売買区分、数量、成行か指値か、指値の価格、有効期限、口座区分を同じ順に確認します。100株と1,000株の取り違えは、注文方法を正しく選んでも防げません。最後の確認画面で、数量と概算代金の桁を照合します。

買う場合は手数料なども含めた必要資金を確認します。特に成行では約定価格が未確定なので、証券会社が表示する注文可能額や必要な余力の扱いを見ます。この記事の架空の代金だけを、そのまま注文に必要な入金額と考えないでください。

注文照会での状態別チェック
状態 確認する内容 避けたい早合点
受付・未約定 数量、価格、期限、市場 受付済みだから保有した
一部約定 成立数量と残数量 元の注文数量をもう一度追加する
全部約定 価格ごとの数量、合計代金 現在値が自分の買値だと思う
取消受付中 取消完了と、その間の約定 取消ボタンを押した時点で消えた
失効・取消完了 残注文と約定済み数量 成立済みの売買まで取り消された

画面の名称は証券会社で異なります。大事なのはボタンの押下ではなく、処理結果です。取消を申し込んだ前後に売買が成立する場合があり、すでに成立した取引を通常の注文取消でなかったことにはできません。

また、当日だけの注文か翌営業日以降も有効な注文かを確認します。前日に置いた注文を忘れ、新しい判断で別の注文を出すと、意図より多い数量を持つ原因になります。銘柄を見直すときには保有一覧だけでなく、未約定の注文一覧も一緒に開く習慣が役立ちます。

8.注文の練習に使う記録と確認問題

最初は実際のお金を動かさず、架空の板を紙や表計算に写して練習できます。買いと売りを一つずつ設定し、成行と指値の代金、成立数量、残数量を計算してください。実際の売買画面を使う場合も、注文確定操作を練習と取り違えないようにします。

記録欄は「日時と市場」「現在値」「相手側の価格・数量」「自分の注文条件」「想定代金」「実際の約定内訳」「残注文」「次回の改善点」に分けます。予想が外れた理由を後から作るのではなく、注文時点で分かっていた事実を残すための記録です。

たとえば第4章なら「買い上限1,005円、1,000株、想定は400株成立・600株待機」と書けます。実際に同じ条件が続かなければ結果は変わりますが、最初の想定が明確なら、板の変化、数量の入力ミス、注文条件の理解不足を分けて検討できます。

問題1:平均約定価格はいくら?

100株を1,001円、300株を1,005円で購入しました。価格だけを平均した1,003円が答えでしょうか。答えは1,004円です。合計代金401,600円を合計400株で割ります。多く買った価格ほど平均に強く影響します。

問題2:取消後に残る保有株は?

1,000株の買い注文のうち400株が成立し、その後の追加約定がないまま残り600株の取消が完了しました。保有は400株、元の注文の残数量は0株です。取消は成立済みの400株を売却する操作ではありません。

問題3:売り指値で損失は固定できる?

995円の売り指値を出しましたが、買い手は985円にしかいません。この条件では売れず、保有が続きます。995円で売却したつもりで損益を確定させず、未約定という状態を確認する必要があります。

問題4:買い指値より安く買える?

買い指値1,005円に対して、条件の合う1,001円の売り注文があります。指定価格以下なので、1,001円で成立する場合があります。指値は必ずその価格だけで売買する指定ではありません。実際の数量や順序はその時の板と売買方式によります。

答えを間違えたら、用語全体を暗記し直すより、計算で使った数量と「成立済み・未成立」の区別を見直します。取引回数を増やすことを練習の目標にせず、一つの注文の結果を説明できることを目標にしてください。

9.出典と次に読む講座

用語・制度は以下の一次情報を参照しました。板の数値例、平均価格の計算、確認表と練習問題は編集部作成です。個別の証券会社の受付条件、手数料、画面表示は各社で異なるため、本講座で共通の操作手順までは保証しません。

本講座は注文の仕組みを学ぶための一般的な情報です。株式には価格変動による損失があり、特定の銘柄・数量・注文方法を推奨するものではありません。ここで扱う現物株の例を、信用取引、外国株、先物、暗号資産へそのまま当てはめないでください。

次は、値動きを記録した図を読むローソク足の見方、撤退条件と保有数量を考える損切りと資金管理へ進めます。

情報源・参考資料

  1. 一次情報 JPX用語集:成行注文
  2. 一次情報 JPX用語集:価格優先原則
  3. 一次情報 Barber & Odean: Trading Is Hazardous to Your Wealth

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