9月3日の米国株大引け総合|Waller発言で3指数1%高、NVIDIAとSnowflakeに資金

対象日:2026年9月3日 | 情報確認:2026-09-04 08:33 JST
初心者の疑問
主要3指数が1%以上上昇した日は、そのまま「強い相場」と判断してよいのでしょうか。9月3日はFRB高官発言をきっかけに利上げ観測が後退し、AI・大型テック中心に買いが広がりました。ただし、Broadcomのように好調なAI需要があっても見通しへの失望で売られた銘柄もあり、指数の上昇だけでは相場の選別色を読み切れません。
この記事で分かること
- ダウ、S&P500、Nasdaq総合の終値と上昇の背景
- 出来高上位20銘柄と売買代金上位20銘柄の違い
- 急騰急落、決算・ガイダンス、M&A、需給変化の確認ポイント
- LULDと日本のストップ高・ストップ安の違い
- 翌日の雇用統計を前に何を確認すべきか
先に要点
- ダウ工業株30種平均は53,686.11ドルで1.18%高、S&P500は7,747.71で1.06%高、Nasdaq総合は26,584.06で1.40%高でした。
- Christopher Waller FRB理事が、インフレ圧力の鈍化が確認されれば政策金利を据え置く考えを示し、9月会合の利上げ観測が後退しました。
- 米国市場の売買高は152.5億株で、直近20日平均150.9億株を上回りました。前日の反発よりも参加の厚みが増え、買い戻しだけではない資金流入が確認できます。
- NVIDIA Corporation(NVDA)はHugging Face, Inc.の買収契約を発表し1.8%高。Snowflake Inc.(SNOW)は決算後に16.6%高、Broadcom Inc.(AVGO)は見通しへの失望で2.7%安でした。
- 個別株ではLULDによる一時停止が複数発生しましたが、市場全体のサーキットブレーカーは発動していません。
初心者はここを見る
9月3日の相場で最初に見るべきは、指数そのものよりも「なぜ上がったか」です。今回は企業業績だけではなく、金融政策への見方が変化したことが大きなきっかけでした。金利がさらに上がるという警戒が後退すると、将来利益の比重が大きいテクノロジー株やAI関連株の評価が改善しやすくなります。その結果、Nasdaq総合が3指数の中で最も高い上昇率となりました。
次に見るのは市場の広がりです。NYSEでは上昇銘柄が下落銘柄の1.98倍、Nasdaqでも1.67倍となり、買いが一部の超大型株だけに限られていませんでした。さらに売買高も20日平均を上回っており、前日の自律反発よりも一段厚みのある上昇だった点はプラスです。もっとも、業績見通しへの評価が厳しい銘柄は下落しており、「全部買われる相場」ではありません。
読み方のコツ
指数上昇、値上がり銘柄数、売買高の3つが同時に改善すると、上昇の信頼性は高まりやすくなります。一方で、個別決算への反応が厳しい日は、指数が強くても銘柄選別が重要です。
【市場で起きたこと】Waller発言で利上げ警戒が後退
Christopher Waller FRB理事はReutersの取材に対し、今後のデータでインフレ圧力の鈍化が確認されるなら、政策金利を据え置く方向に傾くと述べました。一方、インフレが十分に冷えなければ利上げを支持する余地も残しています。この発言を受け、CME FedWatchで見た9月会合の利上げ確率は前日の63.2%から50.4%へ低下しました。
債券市場では米10年国債利回りが2日続けて低下しました。長期金利は企業の資金調達コストや株式評価の割引率に影響するため、金利上昇の一服はグロース株に追い風です。特にAI関連の大型株は将来成長への期待を織り込む比率が高いため、金利変化への感応度が高くなりやすい傾向があります。
出来高上位20銘柄
出来高は「売買された株数」を示します。株価が低い銘柄ほど少ない資金でも多くの株数が動くため、出来高上位だけを見ると低位株が市場の主役に見えることがあります。以下はETF・ETN・ワラントを除いた普通株中心の上位20です。
- 1位 SunPower Inc.(SPWR):出来高 291,599,569株、終値 0.402ドル、騰落率 +58.21%。
- 2位 GoPro, Inc.(GPRO):出来高 177,874,919株、終値 1.390ドル、騰落率 -17.75%。
- 3位 BioXcel Therapeutics, Inc.(BTAI):出来高 147,736,230株、終値 0.118ドル、騰落率 +9.81%。
- 4位 Mint Incorporation Limited(MIMI):出来高 147,189,659株、終値 0.957ドル、騰落率 +49.27%。
- 5位 Advasa Holdings, Inc.(ADBT):出来高 134,834,557株、終値 0.344ドル、騰落率 -80.02%。
- 6位 NVIDIA Corporation(NVDA):出来高 133,937,190株、終値 228.45ドル、騰落率 +1.80%。
- 7位 Hyperscale Data, Inc.(GPUS):出来高 123,960,512株、終値 0.191ドル、騰落率 -3.63%。
- 8位 Generation Income Properties, Inc.(GIPR):出来高 122,649,486株、終値 0.523ドル、騰落率 +32.64%。
- 9位 Space Exploration Technologies Corp.(SPCX):出来高 120,944,646株、終値 149.74ドル、騰落率 +6.42%。
- 10位 DSS, Inc.(DSS):出来高 110,106,009株、終値 0.850ドル、騰落率 +53.99%。
- 11位 Tantech Holdings Ltd(TANH):出来高 107,904,067株、終値 0.384ドル、騰落率 +66.94%。
- 12位 Medicus Pharma Ltd.(MDCX):出来高 93,022,454株、終値 0.171ドル、騰落率 -34.40%。
- 13位 Nokia Oyj(NOK):出来高 81,970,009株、終値 9.77ドル、騰落率 -0.71%。
- 14位 Intel Corporation(INTC):出来高 79,765,606株、終値 91.67ドル、騰落率 +1.80%。
- 15位 Nu Holdings Ltd.(NU):出来高 75,449,068株、終値 15.68ドル、騰落率 +1.82%。
- 16位 Ondas Holdings Inc.(ONDS):出来高 73,018,736株、終値 7.63ドル、騰落率 +0.26%。
- 17位 Hewlett Packard Enterprise Company(HPE):出来高 72,070,224株、終値 54.44ドル、騰落率 +5.04%。
- 18位 Gelteq Limited(GELS):出来高 69,794,932株、終値 0.893ドル、騰落率 +27.60%。
- 19位 MARA Holdings, Inc.(MARA):出来高 68,990,174株、終値 11.60ドル、騰落率 +10.79%。
- 20位 Bitmine Immersion Technologies, Inc.(BMNR):出来高 66,844,662株、終値 26.45ドル、騰落率 +14.70%。
材料が分からない急騰急落は断定しない
SunPower Inc.(SPWR)や一部低位株は大幅な値動きと出来高が目立ちましたが、今回の確認範囲で当日の値動きを一意に説明できる新規一次情報を十分に確認できない銘柄については、理由を推測していません。
売買代金上位20銘柄
売買代金は「株価×出来高」で資金規模を見る考え方です。ここではMarketBeatのドル売買代金ランキングからETFを除外して整理しています。出来高上位と比べると、NVIDIA Corporation(NVDA)、Tesla, Inc.(TSLA)、Micron Technology, Inc.(MU)、Broadcom Inc.(AVGO)など大型株へ実際の資金が集中していたことが分かります。
- 1位 NVIDIA Corporation(NVDA):終値 228.45ドル、出来高 133.85 million、売買代金 $30.58 billion、騰落率 +1.8%。
- 2位 Tesla, Inc.(TSLA):終値 376.36ドル、出来高 62.77 million、売買代金 $23.63 billion、騰落率 +5.4%。
- 3位 Micron Technology, Inc.(MU):終値 958.16ドル、出来高 24.10 million、売買代金 $23.09 billion、騰落率 +0.2%。
- 4位 Broadcom Inc.(AVGO):終値 357.16ドル、出来高 60.11 million、売買代金 $21.47 billion、騰落率 -2.7%。
- 5位 Space Exploration Technologies Corp.(SPCX):終値 149.74ドル、出来高 120.96 million、売買代金 $18.11 billion、騰落率 +6.4%。
- 6位 Sandisk Corporation(SNDK):終値 1,554.99ドル、出来高 8.67 million、売買代金 $13.48 billion、騰落率 +0.1%。
- 7位 Microsoft Corporation(MSFT):終値 510.12ドル、出来高 24.11 million、売買代金 $12.30 billion、騰落率 +2.7%。
- 8位 Apple Inc.(AAPL):終値 328.21ドル、出来高 37.20 million、売買代金 $12.21 billion、騰落率 +1.0%。
- 9位 Meta Platforms, Inc.(META):終値 610.68ドル、出来高 19.69 million、売買代金 $12.02 billion、騰落率 +3.0%。
- 10位 Dell Technologies Inc.(DELL):終値 512.66ドル、出来高 20.29 million、売買代金 $10.40 billion、騰落率 +4.2%。
- 11位 Snowflake Inc.(SNOW):終値 356.78ドル、出来高 21.80 million、売買代金 $7.78 billion、騰落率 +16.7%。
- 12位 Intel Corporation(INTC):終値 91.67ドル、出来高 79.67 million、売買代金 $7.30 billion、騰落率 +1.8%。
- 13位 Alphabet Inc. Class A(GOOGL):終値 342.48ドル、出来高 20.68 million、売買代金 $7.08 billion、騰落率 +1.6%。
- 14位 Amazon.com, Inc.(AMZN):終値 258.90ドル、出来高 26.81 million、売買代金 $6.94 billion、騰落率 +1.5%。
- 15位 Palantir Technologies Inc.(PLTR):終値 182.53ドル、出来高 38.01 million、売買代金 $6.94 billion、騰落率 +7.7%。
- 16位 Advanced Micro Devices, Inc.(AMD):終値 456.16ドル、出来高 14.82 million、売買代金 $6.76 billion、騰落率 -0.2%。
- 17位 Strategy Inc.(MSTR):終値 144.82ドル、出来高 44.76 million、売買代金 $6.48 billion、騰落率 +17.6%。
- 18位 Robinhood Markets, Inc.(HOOD):終値 124.72ドル、出来高 51.36 million、売買代金 $6.41 billion、騰落率 +16.6%。
- 19位 Alphabet Inc. Class C(GOOG):終値 339.08ドル、出来高 12.84 million、売買代金 $4.35 billion、騰落率 +1.6%。
- 20位 Salesforce, Inc.(CRM):終値 264.13ドル、出来高 16.03 million、売買代金 $4.23 billion、騰落率 +2.8%。
出来高と売買代金の違い
1ドルの株が1億株売買されても資金規模は約1億ドルですが、200ドルの株なら1億株で約200億ドルです。市場全体の資金移動を見るには、株数と資金額を分けて確認する必要があります。
急騰急落と個別材料
NVIDIA Corporation(NVDA)は1.8%高でした。Hugging Face, Inc.を取得する正式契約が材料で、買収対価は株主向け約119億ドルに加え、NVIDIAへ加わる従業員向けの株式報酬プログラム最大約10億ドルを含みます。AIモデルやデータセットを共有する開発者基盤を取り込むことで、GPU販売だけではなくAI開発の入口から実行環境までを広く押さえる狙いが注目されました。
Snowflake Inc.(SNOW)は16.6%高。前日の引け後に通期製品売上高見通しを60億7000万ドルへ引き上げたことが評価され、ソフトウェア株全体にも買いが波及しました。一方、Broadcom Inc.(AVGO)は2.7%安。AI半導体需要は強いものの、第4四半期売上高見通しが高い市場期待に届かなかったことが重荷となりました。強いテーマ株ほど「良い数字」だけでなく「市場予想を上回ったか」が重要になります。
暗号資産関連ではStrategy Inc.(MSTR)が17.6%高、Coinbase Global, Inc.(COIN)が10.1%高、Robinhood Markets, Inc.(HOOD)が16.6%高となりました。ビットコインが2日続落後に反発したことが追い風です。個別材料と資産クラス全体の値動きが同時に作用する例として整理できます。
決算・ガイダンス・M&A・大型契約
この日の重要なM&AはNVIDIA Corporation(NVDA)によるHugging Face, Inc.買収です。SEC提出書類では、2026年9月2日に正式契約を締結し、2027年上期の完了を見込んでいます。規制当局の承認など一般的なクロージング条件が残るため、発表時点では完了済みではありません。NVIDIAはHugging Faceのオープンプラットフォーム方針を維持し、他社製半導体やクラウドも利用可能な状態を保つとしています。
決算ではSnowflake Inc.(SNOW)とBroadcom Inc.(AVGO)の対照が分かりやすい例です。Snowflakeは見通し引き上げが評価され、Broadcomは高い期待水準に届かず売られました。企業の成長率だけでなく、株価が事前にどこまで期待を織り込んでいたかで反応が変わります。Hewlett Packard Enterprise Company(HPE)も前日の好決算を受けて5.0%高となり、AIインフラ需要の裾野が広がっていることが確認できます。
LULDと日本のストップ高・ストップ安の違い
米国株には、日本のように前日終値を基準として1日の上限・下限を固定するストップ高・ストップ安制度はありません。代わりにLULD、Limit Up-Limit Downという制度があり、短時間に価格が基準帯を大きく外れた場合に一時停止を入れます。価格が落ち着けば取引は再開されるため、同じ日に複数回停止することもあります。
9月3日は米国市場全体で51件の取引停止が確認され、そのうちLUDPは36件でした。Intercont Limited(NCT)、Li Bang International Corporation Inc.(LBGJ)、Turbogen Ltd(TRBG)などでLULDによる停止が記録されています。一方、S&P500が前日比7%、13%、20%下落した場合に発動する市場全体のサーキットブレーカーは発動していません。
用語解説
LUDPはLULDによるボラティリティ停止を示すコードです。日本のストップ高のように「その価格より上に行けない」という制度ではなく、急変時に短い冷却時間を置く仕組みです。
企業・市場の基礎と需給変化
需給で重要なのは、米国市場の総売買高が152.5億株と20日平均150.9億株を上回った点です。9月2日の反発では平均を下回っていましたが、9月3日は指数上昇と出来高増加が同時に起きました。NYSEとNasdaqの騰落銘柄数も上昇優勢で、買いが超大型株だけに偏っていません。短期的には反発の質が改善したと評価できます。
ただし、金利への感応度は引き続き高いままです。Waller理事の発言で利上げ観測が後退しただけで、インフレ鈍化が確定したわけではありません。同日のサービス業データでは投入価格が2022年10月以来の高水準となり、インフレ圧力が残ることも示されました。翌日の雇用統計が強すぎれば、利上げ観測が再び高まる可能性があります。
プラス材料と懸念材料
プラス材料
- FRBの追加利上げ観測が後退し、長期金利が低下した
- 主要3指数が1%以上上昇し、市場の売買高も平均を上回った
- AI・ソフトウェア・暗号資産関連まで買いが広がった
- NVIDIAのM&AやSnowflakeの見通し引き上げなど具体的な企業材料が確認された
懸念材料
- インフレ圧力が再加速すれば利上げ観測が戻る
- Broadcomの反応が示すようにAI関連は期待水準が高い
- 一部低位株ではLULD停止を伴う極端な値動きが続いている
- 翌日の雇用統計次第で債券と株式の方向が再び大きく変わる
次の確認点
最重要は9月4日の米雇用統計です。Reutersがまとめた市場予想では8月の非農業部門雇用者数は5万6000人増、失業率は4.1%で横ばいが見込まれていました。雇用が予想を大幅に上回れば景気の底堅さと同時に利上げ警戒が再燃する可能性があり、弱すぎれば景気悪化への懸念が強まります。単純に「弱い雇用=株高」とは限りません。
個別ではNVIDIA Corporation(NVDA)のHugging Face買収について、規制当局の審査、Hugging Faceのオープン性維持、他社半導体との関係、開発者コミュニティの反応を追います。Snowflake Inc.(SNOW)とBroadcom Inc.(AVGO)は決算後の2日目の反応が続くかを確認します。出来高上位の低位株については、増資、株式併合、上場維持通知など新しい一次情報が出るかを待ちます。
関連記事:9月2日の米国株大引け総合 / 9月1日の米国株大引け総合 / NVIDIAのMediaTek向け35億ドル投資
Q&A:指数が上がっていれば個別株も買われていると考えていい?
いいえ。9月3日もBroadcom Inc.(AVGO)は下落しました。指数上昇は市場全体の平均的な方向を示しますが、企業ごとの決算、見通し、M&A、規制リスクで反応は大きく異なります。指数、売買代金、個別材料の3層で見るのが基本です。
情報源・参考資料
- 補足情報 Reuters・9月3日の米国株大引け
- 補足情報 StockAnalysis・9月3日の出来高上位
- 補足情報 MarketBeat・9月3日のドル売買代金上位
- 一次情報 NVIDIA Form 8-K・Hugging Face買収
- 一次情報 NVIDIA Blog・Hugging Face買収
- 一次情報 Nasdaq Trader・取引停止コード
- 一次情報 Nasdaq Rulebook・Market Wide Circuit Breakers
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