9月4日のストップ高7銘柄・ストップ安2銘柄 カイオム、ブランジスタ、ティアフォーの需給を検証

対象日:2026年9月4日 | 情報確認:2026-09-04 16:27 JST
先に要点
- 9月4日(金)は、普通株でストップ高に到達した銘柄が7銘柄、ストップ安に到達した銘柄が2銘柄だった。ETF、ETN、REITは集計から除外している。
- ストップ高引けは株式会社カイオム・バイオサイエンス(4583)、株式会社エブリー(607A)、株式会社ブランジスタ(6176)、株式会社コパ・コーポレーション(7689)の4銘柄。ブランジスタは日中に商いが成立せず、大引けで配分された。
- 株式会社モルフォ(3653)、チャットプラス株式会社(598A)、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ(603A)は一時ストップ高。特にアイ・グリッド・ソリューションズは高値1,449円から終値1,145円へ押し戻され、前日比0.35%安で終えた。
- ストップ安引けはアイサンテクノロジー株式会社(4667)と株式会社ティアフォー(593A)。両社とも取引時間中に売買が成立した後、下限価格まで下落した。
- 材料が明確だったのは、AI創薬共同研究のカイオム、SBIグループによる追加取得のブランジスタ、AstemoとのSDV共同開発が続けて意識されたモルフォ。残る銘柄は、確認できた事実と短期需給を分け、材料を推測しない。
同じストップ高到達でも、終値まで買いが続いた銘柄と、上限から大きく押し戻された銘柄で需給は異なります。
「材料の継続性」「上限・下限で残った注文」「出来高と売買代金」の3点を組み合わせて確認します。
【事実】9月4日のストップ高7銘柄・ストップ安2銘柄
9月4日の東京市場では、日経平均株価が65,020.94円と前日比806.46円高、TOPIXが4,103.23と1.19ポイント高、東証グロース市場250指数が796.82と20.73ポイント高で終えた。大型値がさ株の上昇に加え、新興市場でも買いが優勢だったが、個別株では上限と下限の両方向に値動きが拡大した。
終値1,379円、前日比+64円(+4.87%)。高値1,615円、安値1,306円、出来高420万100株、売買代金62.41億円。値幅制限1,015~1,615円。
終値112円、+30円(+36.59%)。高値112円、安値87円、出来高1,804万9,300株、売買代金17.93億円。値幅制限52~112円、買い残11万3,900株。
終値1,820円、+276円(+17.88%)。高値1,944円、安値1,506円、出来高144万2,100株、売買代金26.63億円。値幅制限1,144~1,944円。
終値1,145円、-4円(-0.35%)。高値1,449円、安値1,124円、出来高1,428万4,700株、売買代金185.85億円。値幅制限849~1,449円。
終値317円、+80円(+33.76%)。高値317円、安値243円、出来高1,456万1,700株、売買代金43.82億円。値幅制限157~317円、買い残8万6,700株。
終値1,137円、+150円(+15.20%)。高値・安値とも1,137円、出来高8万7,900株、売買代金1.00億円。値幅制限837~1,137円、買い残8万2,700株。
終値381円、+80円(+26.58%)。高値381円、安値309円、出来高11万4,000株、売買代金0.41億円。値幅制限221~381円、買い残6,500株。
終値2,970円、-700円(-19.07%)。高値3,775円、安値2,970円、出来高139万5,700株、売買代金46.16億円。値幅制限2,970~4,370円、売り残7,100株。
終値2,870円、-700円(-19.61%)。高値3,790円、安値2,870円、出来高3,562万7,300株、売買代金1,143.51億円。値幅制限2,870~4,270円、売り残34万900株。
この一覧で最も重要なのは、上限または下限に触れた事実と、終値の状態を混同しないことだ。モルフォ、チャットプラス、アイ・グリッド・ソリューションズは日中にストップ高へ到達したが、終値は上限価格ではない。反対にカイオム、エブリー、コパ・コーポレーションは売買を伴いながらストップ高で引け、ブランジスタは大引けまで買い気配が続いた後に配分された。
ストップ高・ストップ安と「配分」の違い
東京証券取引所は、前日の終値や最終気配を基準値段として、価格帯ごとに1日の上下限を決めている。これが制限値幅で、上限がストップ高、下限がストップ安である。9月3日の終値が82円だったカイオムは基準値段100円未満のため上下30円、3,570円だったティアフォーは3,000円以上5,000円未満のため上下700円が当日の制限幅となった。
ストップ高引けとは、終値がその日の上限価格だった状態を指す。ただし、朝から一度も売買が成立しなかった銘柄と、日中に何度も売買された後で上限へ戻った銘柄は同じではない。ブランジスタは始値、高値、安値、終値がすべて1,137円で、売買成立時刻は15時30分。大引けで8万7,900株が成立し、なお8万2,700株の買い注文が残ったため、ストップ高配分と整理できる。
一時ストップ高は、取引時間中に上限へ触れたものの、終値では離れた状態だ。買いの勢いが一度は売り注文を吸収した一方、その後は利益確定や戻り売りが優勢になったことを示す。逆にストップ安引けでも、日中に売買が成立していれば「終日売り気配」とは違う。今日のアイサンテクノロジーとティアフォーは朝に高値を付けた後で急落しており、前日までの買いポジションの巻き戻しを考えるうえで重要な差になる。
【事実】カイオムとブランジスタは一次情報が直接材料
株式会社カイオム・バイオサイエンス(4583)は、9月3日16時に株式会社FRONTEO(2158)との共同研究を発表した。FRONTEOのAI創薬支援サービスで新規標的を探索し、カイオムのバイスペシフィック抗体創製技術「DoppeLib」などを組み合わせる。両社は複数テーマを研究し、2027年度中の抗体医薬品候補創出と、共同開発または製薬企業への導出を目指すとしている。
株価は97円で始まり、9時26分に87円まで下げた後、15時1分に上限112円へ到達した。終値まで上限を保ち、11万3,900株の買い注文が残った。材料は研究開始であり、臨床試験成功や製品化、収益計上が確定したわけではない。研究テーマの選定、候補創出、非臨床・臨床開発、導出という段階を経るため、次に確認すべき事実は具体的な進捗と契約条件である。
株式会社ブランジスタ(6176)は、SBIホールディングス株式会社(8473)と子会社SBINM合同会社が追加取得を決めた。取得上限は174万5,000株、議決権比率で最大12.06%。期間は9月4日から2027年3月31日までで、上限まで取得した場合はSBIグループの議決権所有比率が20.02%となり、持分法適用関連会社にする予定だ。
ここで注意したいのは、公開買付け価格が示されたTOBではなく、市場買付けによる追加取得であることだ。開示には株価の推移と投資予算の範囲で買い付け、上限に達しない場合もあると明記されている。市場に継続的な買い需要が生じる可能性はあるが、取得速度や実際の平均価格は未確定だ。週明けは買い気配が続くかだけでなく、出来高を伴って売買が成立するかを確認したい。
【MARKET EYE分析】モルフォは材料継続、上限からの失速を重視
株式会社モルフォ(3653)は9月2日、Astemo株式会社とSDV向けカメラ技術領域の共同開発開始を発表した。走行環境や乗員状態を把握するAIアルゴリズムと軽量実装が主題で、モルフォの車載AI・画像処理技術とAstemoの車両制御・ハードウェアを組み合わせる。9月4日に新たな同規模の開示は確認できず、既出材料と自動運転・SDVテーマへの関心が続いた局面とみるのが妥当だ。
需給面では、9時41分の始値がそのままストップ高1,615円だったが、その後1,306円まで下落し、終値は1,379円となった。高値から終値まで236円、14.61%下げている。終値は前日比プラスを確保したものの、上限で買った投資家には含み損が生じた。出来高420万100株、売買代金62.41億円は時価総額に対して大きく、材料を評価する買いと短期利益確定が激しく交錯したと読める。
8月28日時点の信用買い残は56万3,300株、信用売り残は13万3,700株、信用倍率4.21倍だった。データには1週間の遅れがあるため今日の急変をまだ反映していないが、買い残が積み上がった状態で高値から押し戻された点は無視できない。9月11日に決算発表が予定されており、共同開発の将来性だけでなく、既存事業の売上、損益、通期見通しを確認する必要がある。
直近IPO3銘柄は同じ上昇でも終値の質が分かれた
チャットプラス株式会社(598A)、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ(603A)、株式会社エブリー(607A)は、いずれも2026年夏に上場した直近IPOとして資金が向かった。9月4日は直近IPOへの物色意欲が報じられたが、3社共通の新しい大型契約や業績修正が同日に出たわけではない。したがって「IPOだから上がった」と断定するのではなく、値動きと売買代金から短期資金の強弱を比較する。
エブリーは244円で始まり、10時19分に317円のストップ高へ到達して、そのまま引けた。出来高は1,456万1,700株、売買代金43.82億円、買い残は8万6,700株。終値まで買い優勢が続いた点では3社の中で最も強い。もっとも、8月28日時点の信用買い残は187万6,700株で、信用売り残は0株だった。上場後間もない銘柄では信用データや浮動株の変化が急なため、翌営業日の寄り付きで買い注文が実際の約定へつながるかが焦点になる。
チャットプラスは13時34分に1,944円の上限へ到達したが、終値は1,820円。高値から6.38%下げても前日比17.88%高を保った。上限から剥がれた後も高い水準に買いが残った形で、次は1,944円を再び試す際の売り注文量が重要になる。
アイ・グリッド・ソリューションズは最も注意が必要だ。10時25分に1,449円のストップ高へ達した後、15時13分に1,124円まで下落し、終値1,145円は前日比4円安だった。日中高値から304円、20.98%下落し、売買代金は185.85億円に達した。上昇銘柄一覧だけでは見えない大きな反転である。明確な同日新材料を確認できないなかでの大商いだったため、週明けに高値圏の買い手が戻るか、戻り売りに変わるかを慎重に見る必要がある。
コパ・コーポレーションは新規材料未確認、薄い流動性に注意
株式会社コパ・コーポレーション(7689)は309円で始まり、10時44分に381円のストップ高へ到達して引けた。前日比26.58%高と上昇率は大きいが、出来高11万4,000株、売買代金0.41億円で、他のストップ銘柄より商いは小さい。大引けには6,500株の買い注文が残った。
9月4日までに、株価上昇を直接説明できる新しい決算、業績修正、M&A、大型受注、行政採択などの一次情報は確認できなかった。そのため本稿では、特定の思惑や未確認情報を上昇理由として扱わない。流動性が低い銘柄は、比較的小さな注文でも価格が大きく動きやすく、翌日に売り注文が増えると反対方向へ値幅が広がる場合がある。確認点は新たな適時開示の有無、寄り付き前の注文量、初値成立後の出来高である。
【MARKET EYE分析】自動運転2銘柄は急騰の反動が表面化
アイサンテクノロジー株式会社(4667)と株式会社ティアフォー(593A)は、ともに自動運転関連として前日まで短期間に上昇していた。ティアフォーは8月31日以降、トヨタ自動車株式会社(7203)が2028年から自動運転機能を市販車へ搭載するとの報道を契機に物色され、直近IPOで値動きが軽いことやTOPIX新規採用候補との見方も重なった。9月4日に両社の価値を直接引き下げる新しい企業開示は確認できなかった。
ティアフォーは朝に3,790円の年初来高値を更新した後、12時41分に2,870円のストップ安へ下落した。高値から安値まで920円、24.27%の反転で、出来高3,562万7,300株、売買代金1,143.51億円は9銘柄中で突出している。大引けには34万900株の売り注文が残った。8月28日時点の信用買い残351万5,000株に対し、信用売り残31万5,600株、信用倍率11.14倍だったため、上昇を見込んだポジションが多い状態での急落となった。
アイサンテクノロジーも9時1分に3,775円まで上昇した後、14時7分に2,970円のストップ安へ到達した。出来高139万5,700株、売買代金46.16億円で、売り残は7,100株。両社が同日に下限まで売られたことは、自動運転技術の長期需要が1日で消えたことを意味しない。一方で、テーマの将来性と株価の短期過熱は別問題であり、材料の追加がないまま上昇速度だけが速まると、利益確定と信用買いの返済が同時に出やすい。
週明けに下限価格から反発しても、それだけで調整終了とは判断できない。寄り付き後に安値を切り上げるか、売買代金が落ち着くか、信用買い残が次回発表でどう変化するか、会社から具体的な契約・売上・開発日程が出るかを分けて確認する必要がある。
需給で読む4つの型:張り付き、配分、剥がれ、反転
今日の9銘柄は、需給の型で四つに分けられる。第一はカイオム、エブリー、コパ・コーポレーションのように日中売買を経てストップ高引けとなった型。第二はブランジスタのように売り物が少なく、大引けで配分された型。第三はモルフォ、チャットプラス、アイ・グリッド・ソリューションズのように一時上限へ触れた後に剥がれた型。第四はアイサンテクノロジーとティアフォーのように高値を付けた後、ストップ安へ反転した型である。
強さを単純に順位付けするなら、終値が上限に近いほど買いが残ったといえる。しかし、翌営業日の安定性は別だ。買い残が多すぎると、寄り付き前の気配だけ高くても、約定直後に売りが集中する場合がある。逆に一時ストップ高から押し戻されても、出来高を消化して安値を切り上げれば、売りを吸収した可能性が出てくる。
売買代金は注文の厚みを測る一つの目安になる。ティアフォーの1,143.51億円、アイ・グリッド・ソリューションズの185.85億円は、多くの参加者が高値と安値の双方で売買したことを示す。コパ・コーポレーションの0.41億円、ブランジスタの1.00億円は、価格変化の大きさに対して成立金額が小さい。上昇率だけでなく、どれだけの資金が価格形成に参加したかを見ることで、同じストップ銘柄でも性質の違いが分かる。
強気・中立・弱気の条件と週明けの確認点
一次材料のある銘柄で買い気配だけでなく出来高を伴う上昇が続く。剥がれた銘柄が前日高値へ近づき、自動運転2銘柄は安値を切り上げる。
ストップ高引け銘柄は高寄り後に伸び悩み、ストップ安銘柄は下限近辺で売買が続く。材料株と需給株の選別が進み、市場全体への波及は限定される。
買い残を抱えたままストップ高銘柄が寄り天となり、一時ストップ高銘柄が9月4日安値を割る。ティアフォーの売り残が解消せず、自動運転関連へ下落が広がる。
- 寄り付き前の残注文:買い残・売り残が翌朝も続くか。気配値だけでなく注文株数を見る。
- 最初の約定:特別気配やストップ配分の後、実際にどの価格でどれだけ成立するか。
- 前日高安:一時ストップ高銘柄は9月4日高値、ストップ安銘柄は9月4日安値を回復・維持できるか。
- 追加の一次情報:カイオムの研究進捗、ブランジスタ株の取得状況、モルフォの決算と共同開発の具体化を確認する。
- 信用と売買代金:上昇時に信用買いが増えすぎていないか。大商い後に出来高が細る場合は値動きが不安定になりやすい。
当日の市場全体は9月4日の日本株大引け総合で確認できる。前場時点の指数のねじれは9月4日の日本株前場引け、寄り付き前の海外株・円・原油の条件は9月4日MARKET EYE朝刊と合わせると、個別株だけを見た場合の思い込みを減らせる。
値幅制限は損失を防ぐ制度ではありません。買いたいときに買えない、売りたいときに売れない状態が起こり、翌営業日に価格が連続して動くこともあります。材料の事実、現在の株価に織り込まれた期待、信用取引による需給を分け、許容できる損失額と注文方法を先に決めることが重要です。
情報源・参考資料
- 一次情報 日本取引所グループ|制限値幅
- 一次情報 FRONTEO公式|カイオム・バイオサイエンスとの共同研究
- 一次情報 SBIホールディングス公式開示|ブランジスタ株式の追加取得
- 一次情報 モルフォ公式|AstemoとのSDVカメラ技術共同開発
- 補足情報 トレーダーズ・ウェブ|9月4日ストップ高安銘柄
- 補足情報 株探|9月4日ストップ高・ストップ安引け
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|モルフォ(3653)
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|カイオム・バイオサイエンス(4583)
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|チャットプラス(598A)
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|アイ・グリッド・ソリューションズ(603A)
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|エブリー(607A)
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|ブランジスタ(6176)
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|コパ・コーポレーション(7689)
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|アイサンテクノロジー(4667)
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス|ティアフォー(593A)
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