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日経平均6万8,309円、その強さは本物?|AI集中・円キャリー・原油から読む10月の3シナリオ

MARKET EYE 編集部 2026.10.03 13:26 コモディティの記事一覧を見る →
日経平均6万8,309円、その強さは本物?|AI集中・円キャリー・原油から読む10月の3シナリオ

対象期間:2026年9月26日(土)から10月3日(土)12:37 JSTまで

  1. 📊 先に要点|AI株高の裏で、相場の中身はかなり変わった
  2. 🔍 今週の重要な変化|日経平均+2.93%、でも実は「全面高」ではない
  3. 💱 USD/JPY・円キャリー|介入0円。怖いのは160円そのものより「動く速さ」
  4. 🏦 日銀・日本マクロ|短観は強い、東京CPI2.7%──利上げ論はまだ終わらない
  5. 🇺🇸 Fed・米国データ|雇用は減速、それでも長期金利高がAI株の弱点
  6. 🛢️ 原油・LNG・中東|102ドルでも、もう「供給不安だけ」の相場ではない
  7. 🌍 投資家需給|海外勢は「現物売り・先物買い」──上昇の質を見極める
  8. 🔁 過去比較①|2024年8月の円キャリー巻き戻しと何が似ている?
  9. 🧭 過去比較②|2022年の原油高・円安と、今回は何が違う?
  10. 💻 過去比較③|2026年7月のAI集中調整が教えたこと
  11. ⚡ AI・半導体・電線|次の主役は「電力制約を解決できる企業」へ
  12. 🏭 セクター別に整理|追い風だけでなく、崩れる条件まで見る
  13. ⚠️ 空売り・ショートカバー|今いちばん危ない逆張りは何か
  14. 🔮 今後の見通し|10月前半を「基本・好転・悪化」の3シナリオで読む
  15. 📅 次週の重要予定|この数字が動けば、シナリオも変わる
  16. 📚 新しい研究はあった?|今週は市場材料の方が重要
  17. 🎯 MARKET EYEの結論|見るべきは日経平均より「金利・円・原油・相場の幅」
  18. 情報源・参考資料

📊 先に要点|AI株高の裏で、相場の中身はかなり変わった

10月2日の日経平均株価は68,309.46円で取引を終えた。9月25日の66,364.20円から1,945.26円、前週比+2.93%となっています。ただし10月2日の構成銘柄を見ると上昇51銘柄、下落173銘柄、変わらず1銘柄だった。ここが今週のいちばん大事なところです。指数が上がった=日本株全体が強かった、ではありません。

10月2日時点の日経平均では、株式会社アドバンテスト(6857)が12.20%、東京エレクトロン株式会社(8035)が8.96%、ソフトバンクグループ株式会社(9984)が7.47%を占めます。技術セクター全体も44%超です。AI投資への期待が続く限り指数は支えられやすいが、米金利上昇や半導体需要への警戒が強まったときは、同じ集中構造が下落を増幅する。

日本マクロでは、10月1日公表の日銀短観で大企業製造業の業況判断DIが22から24へ改善しました。大企業全産業の2026年度設備投資計画は前年度比11.3%増で、企業の投資意欲はなお強い。一方、12月見通しでは大企業製造業DIが21、大企業非製造業が30へ悪化する見込みで、企業は先行きに慎重さを残している。

10月2日公表の東京都区部9月CPIは、生鮮食品を除く総合が前年同月比2.7%、生鮮食品とエネルギーを除く総合が3.0%だった。8月の1.8%、2.0%からそれぞれ加速している。米国では同じ10月2日に9月雇用統計が公表され、非農業部門雇用者数は前月比2.9万人増、失業率は4.2%だった。7月と8月の雇用者数も合計6万人下方修正された。日本では物価圧力が強まり、米国では雇用が弱くなるというねじれが生まれている。

MARKET EYEが次に見るのは、日経平均の水準よりも、①米10年金利が5%台から低下するか、②ドル円が急激に160円へ向かわず安定するか、③ブレント原油が100ドル近辺から再上昇するか、④AI関連以外へ現物買いが広がるか、の四点です。

🔍 今週の重要な変化|日経平均+2.93%、でも実は「全面高」ではない

9月25日から10月2日までの日経平均は2.93%上昇した。前週末の9月25日は171銘柄上昇、51銘柄下落だったが、10月2日は51銘柄上昇、173銘柄下落へ逆転した。それでも指数は68,000円台を維持した。ここで注目したいのは、上昇銘柄数が減っても値がさの大型株が指数を支えられるほど、物色の集中度が高まっていることです。

直接の材料はAI向けメモリー需要だった。Micron Technologyは9月30日、次四半期売上高を615億ドルと見込み、市場予想を上回る見通しを示した。長期契約に基づく顧客コミットメントも6月時点の220億ドルから320億ドルへ増えた。日本市場ではキオクシアホールディングス株式会社(285A)、株式会社アドバンテスト(6857)、株式会社フジクラ(5803)など、メモリー、検査装置、光・電線へ資金が向かいやすくなりました。

しかも今回は、単なる期待だけではありません。AI向けメモリーの実需が数字で確認されています。ただし、株価上昇の速度と企業利益の増加速度は別である。指数ベースのPERは10月2日時点で22.66倍、PBRは2.80倍だった。米長期金利が高止まりする状況では、将来利益の現在価値を高く見積もることが難しくなり、好業績でもバリュエーション調整が起こり得る。

💱 USD/JPY・円キャリー|介入0円。怖いのは160円そのものより「動く速さ」

財務省が9月30日に公表した外国為替平衡操作の実施状況では、8月27日から9月28日までの介入額は0円でした。したがって、この期間の円相場の変動を日本政府による実弾介入で説明することはできない。日銀の外国為替市況では10月2日17時時点のドル円は157.57〜157.59円、同日の取引レンジは157.54〜158.21円でした。

前週と比べて変わったのは、日銀の利上げ後も円が大幅な円高へ進まなかったことだ。日銀の政策金利は9月18日の決定で1.25%となったが、日米の金利差はなお大きい。一方、10月1日に公表された日銀会合の「主な意見」では、基調的物価が2%へ接近するなか、物価上振れ時には利上げペースを速める必要があるとの意見が示される一方、個人消費や累積的な利上げ影響を慎重に見る意見もあった。

円キャリーを考えるときは、単純な日米政策金利差だけでは不十分である。キャリー取引は低金利通貨を調達して高金利資産へ投資するため、金利差が利益源になるが、円が短期間に急上昇すると為替損が金利収入を上回る。2024年8月には、円高と株安が同時に進み、レバレッジ解消が相場変動を増幅した。現在も、米雇用悪化をきっかけに米金利が急低下し、ドル円が短期間で155円を割るようなら、同じ経路を警戒する必要があります。

🏦 日銀・日本マクロ|短観は強い、東京CPI2.7%──利上げ論はまだ終わらない

日銀短観では大企業製造業DIが24へ改善し、大企業非製造業は37から35へ低下した。12月見通しはそれぞれ21と30で、先行きは慎重である。大企業全産業の2026年度設備投資計画は前年度比11.3%増だった。AI、データセンター、省力化、ソフトウェアなど投資需要が企業心理を支えている一方、借入金利水準判断DIは全規模・全産業で6月の61から9月は68へ上昇し、12月見通しは71となった。企業側も資金調達コストの上昇を強く意識している。

東京CPIでは9月の生鮮食品除く指数が前年同月比2.7%、生鮮食品・エネルギー除く指数が3.0%だった。注目すべきなのは、エネルギーが前年同月比1.9%下落しているにもかかわらず、基調的な指数が加速したことである。水道料は65.6%上昇し、総合指数を0.24ポイント押し上げたため制度要因も大きいが、食料、家賃、サービスの価格上昇も確認できる。原油高だけで説明できない物価圧力が残っている。

賃金では9月28日に7月分の毎月勤労統計確報が公表され、現金給与総額は前年同月比4.3%増、実質賃金は持家の帰属家賃を除く総合で実質化した場合2.0%増だった。物価が上がっても実質賃金がプラスを維持するなら消費を支えるが、10月7日に公表予定の8月速報で同じ傾向が続くかが次の重要点になる。

なお、10月2日の10年JGBについて、同一基準で確認できる確定終値を一次情報から取得できなかったため、この記事では、確認できない週末利回りを無理に数字で埋めません。取得できない数値を推測で補わず、次週は日銀・市場公表値で利回り水準とカーブの変化を確認する。

🇺🇸 Fed・米国データ|雇用は減速、それでも長期金利高がAI株の弱点

米国では9月雇用統計が大きな変化だった。非農業部門雇用者数は2.9万人増、失業率は4.2%、平均時給は前月比0.1%増、前年同月比3.0%増だった。7月は2.1万人増から1万人減へ、8月は16.2万人増から13.3万人増へ修正され、2か月合計で6万人下方修正された。労働市場は急激な大量解雇というより、企業の採用意欲が弱くなる方向へ進んでいる。

一方、9月30日公表の8月PCE価格指数は前年同月比3.4%、食品とエネルギーを除くコアは3.0%だった。雇用が鈍化しても、インフレ率はFedの2%目標を上回っている。Fedの政策金利目標は9月の利上げ後3.75〜4.00%であり、雇用だけを見て直ちに大幅な金融緩和へ移る状況ではない。

ここで日本株に重要なのが米長期金利だ。今週の米10年国債利回りは5%台へ上昇し、Reutersは一時5.34%と2002年以来の高水準を付けたと報じた。政策金利の追加利上げ観測が後退しても、財政赤字、国債供給、インフレ、世界的な債券売りが長期金利を押し上げれば、AI・半導体のバリュエーションには逆風になる。

🛢️ 原油・LNG・中東|102ドルでも、もう「供給不安だけ」の相場ではない

10月2日のICEブレント原油先物は1バレル102.25ドル、WTI先物は91.11ドルで清算された。原油は100ドルを超えているが、前週までの「供給障害なら上昇」という単純な構図から、備蓄放出と物流回復を織り込む局面へ変わった。Reutersによると、欧州では軽油備蓄5000万バレルの放出案が受け入れられ、IEA加盟国と原油5000万バレルの並行放出も議論された。

ホルムズ海峡では9月のLNG輸送が紛争開始後で最も多い水準へ回復した。調査会社の集計は19〜21隻で、6月の15隻を上回った。ただし、一部船舶が位置情報を切った状態で通航しており、保険料や安全保障上のリスクが平時へ戻ったわけではない。日本企業にとって重要なのは原油先物価格だけではなく、LNG、軽油、ジェット燃料、ナフサ、タンカー運賃まで含めた実際の調達コストです。

資源側では株式会社INPEX(1605)、ENEOSホールディングス株式会社(5020)、三菱商事株式会社(8058)、三井物産株式会社(8031)に高いエネルギー価格が利益面の支えとなりやすい。一方、日本航空株式会社(9201)、ANAホールディングス株式会社(9202)、物流、化学、紙・包装などは燃料・輸送コストが利益率を圧迫する。原油が100ドルを割り、タンカー運賃も低下すればコスト敏感株のショートカバーにつながりやすい。逆にホルムズ海峡の障害が再拡大し105〜110ドルへ戻れば、資源株を売っている側には踏み上げリスクがある。

ウクライナ、対ロ制裁、主要通商政策については、この一週間に日本株のセクター判断を直ちに変える新しい一次情報は確認できず、今週は「大きな変化なし」と整理しました。既存の地政学リスクは続いているが、今週の価格形成では中東の原油・LNG輸送の方が日本企業の損益へ直接的でした。

🌍 投資家需給|海外勢は「現物売り・先物買い」──上昇の質を見極める

JPXが10月1日に更新した最新の投資部門別売買状況は9月24〜25日の2営業日が対象である。JPXデータを集計した豊トラスティによると、海外投資家は現物株を930億円売り越した一方、先物を6,442億円買い越し、現物・先物合計では5,512億円の買い越しだった。信託銀行は合計2,532億円、事業法人は1,598億円の売り越しでした。

この需給をかみ砕くと、前週の上昇が海外投資家による日本企業の現物買いだけで作られたわけではないことだ。指数先物への買いが大きい局面は、上昇が速い一方、海外市場や為替が反転したときの巻き戻しも速くなり得る。今週のAI株急伸を海外勢が現物で追いかけたのか、それとも先物中心だったのかは次回のJPX公表で確認する必要があります。

🔁 過去比較①|2024年8月の円キャリー巻き戻しと何が似ている?

現在の下振れリスクを考えるとき、最も重要な過去例は2024年8月である。8月5日の日経平均は1日で12.4%下落し、TOPIXも12.2%下落した。BISはこの市場混乱について、円キャリー取引の巻き戻し、レバレッジ解消、証拠金引き上げなどが相互に作用し、価格変動を増幅したと分析している。BISは円キャリー取引の規模について、中間的な概算として約40兆円を示しました。

現在との共通点は、日銀が金融正常化を進めていること、米国の雇用が減速していること、AI・半導体にポジションが集中していることだ。米雇用の悪化によって米金利が急低下し、ドル円が急速に円高へ動けば、輸出株と海外資産の円キャリーを同時に縮小する動きが起こり得る。

ただし、2024年と同じ下落が起きると決めつけることもできない。2026年はすでに日銀政策金利が1.25%まで上がっており、利上げ自体が完全なサプライズではない。また今週について、2024年8月と同程度に円キャリーのポジションが膨らんでいることを裏付ける一次情報は確認できていない。つまり、似ているのは「急な円高とレバレッジ解消が組み合わさると値動きが増幅する」というメカニズムにあり、下落幅まで同じと考えるべきではない。

🧭 過去比較②|2022年の原油高・円安と、今回は何が違う?

次に比べたいのが2022年です。当時の日銀は、エネルギー、食料など国際商品価格の上昇と円安が輸入物価を押し上げ、企業の価格転嫁を通じてCPIへ波及していると分析していた。現在も原油100ドル超と157円台の円安が同時に存在するため、輸入コストという経路は似ている。

しかし2026年は金融環境がまったく違う。2022年は国内金利が極めて低かったが、現在の日銀政策金利は1.25%で、企業は短観でも借入金利上昇を強く見込んでいる。つまり今回は、原料・燃料価格の上昇に加えて資金調達コストも利益を圧迫する可能性がある。航空、物流、化学、REIT、不動産などでは、2022年型の輸入コスト上昇と現在の金利上昇を同時に考えなければならない。

一方、賃金の状態は2022年より改善している。7月確報では名目賃金が4.3%増、実質賃金も2.0%増だった。賃上げが継続すれば家計が物価上昇を吸収しやすくなるため、今回がそのまま2022年型の実質購買力低下になるとは限らない。次の分岐点は8月賃金と家計消費です。

💻 過去比較③|2026年7月のAI集中調整が教えたこと

さらに近いところでは、2026年7月のAI・半導体株の調整があります。海外の高成長半導体株で売りが強まり、日本を含むアジアのAI関連株にも波及した。これはAI需要そのものが消えたためではなく、高い期待、ポジション集中、金利上昇が重なったときに、利益確定が同じテーマ内で連鎖しやすいことを示しました。

⚡ AI・半導体・電線|次の主役は「電力制約を解決できる企業」へ

10月1日、JERA、Dell Technologies、RHAELM Holdingsは、日本で国家規模のAIインフラ整備を進めるための覚書を締結した。第1号案件としてJERA千葉火力発電所で最大40万kW(400MW)規模のAIデータセンターインフラを開発し、投資総額は150億ドル、約2.3兆円以上を見込む。運用開始は2028年頃を目指す。

この計画で見逃せないのは、AI投資のボトルネックがGPUやメモリーだけではなく、電力、系統接続、変圧器、電線、冷却へ移っていることを示した点にある。AI計算能力を増やしても必要な電力を確保できなければデータセンターは稼働できない。発電所に近接したオンサイト型の供給は、通常の系統接続に比べて立ち上げを早めることを狙っている。

🏭 セクター別に整理|追い風だけでなく、崩れる条件まで見る

💻 AI・半導体・電線:Micronの需要見通しとJERAのAIインフラ計画が追い風である。空売り側のリスクは、受注上方修正や米AI株高による踏み上げ。買い側のリスクは、米長期金利上昇、メモリー価格下落、顧客設備投資の減額です。

🏦 銀行・保険:日銀の追加利上げと貸出金利上昇は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(8316)などの利ざやに追い風となりやすい。ただし金利上昇が急なら、債券評価損、信用コスト、預金金利上昇が利益を削る。単純な「金利上昇=銀行株高」ではない。

🛢️ 商社・資源:原油100ドル超はINPEX(1605)、石油、商社の収益を支えやすい。反対に備蓄放出と中東物流の改善でブレントが100ドルを明確に割る場合、地政学プレミアムの剥落が利益確定のきっかけになる。

🚗 自動車・機械:157円台の円安は円換算利益に追い風だが、160円接近では介入・追加利上げの警戒が強まる。逆に155円を急速に割れば、円キャリー巻き戻しと業績前提の修正が同時に起きる可能性があります。

✈️ 航空・物流・化学:原油、ジェット燃料、ナフサ、タンカー運賃の低下が改善条件である。原油だけが下がっても輸送・保険料が高ければ利益改善は遅れる。ブレント100ドル割れと物流正常化が同時に進むかを見る。

🏢 REIT・不動産:国内金利上昇で借換コストが高まり、国債利回りに対する分配金利回りの魅力も低下する。賃料上昇で吸収できる物件と、借入比率が高く負担が先に出る物件の差が広がりやすい。

🛡️ 防衛:中東・ウクライナの不確実性がテーマ性を支えるが、今週は日本企業の業績予想を変える新しい大型契約を確認できていない。地政学ニュースだけで株価が上がる局面では、停戦や緊張緩和による反落も大きくなりやすい。

⚠️ 空売り・ショートカバー|今いちばん危ない逆張りは何か

いまショート側が特に気をつけたいのは、「高いから売る」という判断である。AI・半導体には実際の需要と長期契約があり、電力インフラにも新規投資計画が出ている。高PERだけを根拠に売ると、新しい受注や設備投資上方修正で踏み上げが起こり得る。銀行株も追加利上げ観測が残る間は、景気懸念だけで売ると金利上昇に押し戻される。

一方で、ロング側の弱点は「集中しすぎていること」です。日経平均は少数の値がさ技術株の影響が大きい。海外投資家の直近需給も現物売り・先物買いの形だったため、米国株や為替が反転すると指数先物から巻き戻しが進む可能性がある。特に米10年金利上昇と円高が同時に起こると、AI株のバリュエーションと輸出企業の為替前提が同時に悪化する。

🔮 今後の見通し|10月前半を「基本・好転・悪化」の3シナリオで読む

対象期間:2026年10月5日から10月16日。

📌 現在地(事実):日経平均は68,309.46円、日銀政策金利は1.25%、10月2日17時のドル円は157.57〜157.59円、東京の生鮮食品除くCPIは前年同月比2.7%、米9月雇用者数は2.9万人増、ブレント原油は102.25ドルである。これらは予測ではなく、公表・市場データで確認した数値です。

➡️ 基本シナリオ:AI・半導体・電力インフラが指数を支える一方、金利と原油が上値を抑え、指数は高値圏で値幅の大きい展開が続く。条件はドル円が156〜160円の範囲で急変せず、米長期金利が今週の高値圏からさらに急上昇せず、ブレント原油が100ドル前後で推移すること。物色が銀行・機械・電力設備まで広がれば、相場の持続性は改善する。

📈 好転シナリオ:米インフレ鈍化が確認され、米長期金利が5%を明確に下回る。同時にブレントが100ドルを割り、ドル円が急激な円高ではなく156〜158円程度で安定する。AI投資が半導体から電力、電線、機械へ広がり、次回JPX統計で海外投資家の現物買いが確認されれば、指数上昇の中身が改善する。日経平均の上昇銘柄数が増えることも重要な確認条件です。

📉 悪化シナリオA|2024年型:米雇用がさらに悪化し、米金利低下と同時に円が急上昇する。ドル円が短期間で155円を割る場合、円キャリーの巻き戻し、輸出株の利益確定、AI株のポジション縮小が重なる可能性がある。2024年8月と同じ下落幅を想定するのではなく、円高の速度と先物需給が連鎖を起こすかを確認する。

⚠️ 悪化シナリオB|2022年型の発展:中東情勢が再悪化し、ブレントが105〜110ドルへ上昇しながらドル円も160円へ接近する。輸入物価が上がり、日銀の追加利上げ観測と財務省の介入警戒が同時に強まる。2022年との違いは国内金利がすでに上がっているため、企業は原料高と資金調達コスト上昇の両方を受ける点にある。

📅 次週の重要予定|この数字が動けば、シナリオも変わる

  • 10月7日:厚生労働省の8月毎月勤労統計速報。名目賃金だけでなく、実質賃金が7月のプラスを維持するかを確認する。
  • 10月7日:米FOMC議事要旨。9月利上げ後、追加引き締めと雇用減速をどの程度重視していたかを見る。
  • 10月8日:日銀の地域経済報告。地方企業の価格転嫁、人手不足、設備投資、個人消費に変化があるかを確認する。
  • 10月9日:日本の8月家計調査。賃金上昇が実際の消費へつながっているかが焦点になる。
  • 随時:財務省の為替発言、ドル円の変化速度、ホルムズ海峡のLNG・原油通航、ブレント100ドル・105ドル、米10年金利5%台の推移、次回JPX投資部門別売買状況。

📚 新しい研究はあった?|今週は市場材料の方が重要

2026年9月26日から10月3日12:37 JSTまでを対象に、日銀の研究公表、国内主要研究機関、国際機関の新規研究を確認したが、日本株の短期的なセクター配分や日銀・Fedの政策判断を直接変える新しい査読研究は確認できなかった。このため今週のacademic_researchはfound=false、importance=noneとする。

📌 過去比較にはBIS Bulletin 90を使いましたが、2024年公表であり今週の新規研究には含めていません。

🎯 MARKET EYEの結論|見るべきは日経平均より「金利・円・原油・相場の幅」

今週は、AI需要の強さ、東京CPIの加速、米雇用減速、米長期金利高、原油100ドル超が同時に確認された。過去との比較では、2024年8月の円キャリー巻き戻しは急な円高とレバレッジ解消、2022年は原油高と円安による輸入インフレ、2026年7月はAI株への集中が反転時の値幅を大きくする危険を示している。ただし現在には、実質賃金の改善、企業の設備投資、AIの実需要という支えもある。

10月前半は日経平均の数字だけで方向を決めるより、米長期金利、ドル円、ブレント原油、海外投資家の現物売買、騰落銘柄数を同時に見る必要がある。AIから銀行・電線・機械・電力設備・内需へ買いが広がり、金利と原油が落ち着けば上昇の質は改善する。反対に、指数が高値でも下落銘柄が増え、現物売りと米金利・原油上昇が重なるなら、現在の集中度は下落時の弱点になる。

情報源・参考資料

  1. 一次情報 日本銀行「全国企業短期経済観測調査(2026年9月)」
  2. 一次情報 日本銀行「金融政策決定会合における主な意見(2026年9月17・18日開催分)」
  3. 一次情報 日本銀行「補完当座預金制度における付利金利(政策金利1.25%)」
  4. 一次情報 財務省「外国為替平衡操作の実施状況(2026年8月27日~9月28日)」
  5. 一次情報 日本銀行「外国為替市況 2026年10月2日」
  6. 一次情報 総務省統計局「東京都区部 消費者物価指数 2026年9月分」
  7. 一次情報 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年7月分結果確報」
  8. 一次情報 米労働統計局「The Employment Situation — September 2026」
  9. 一次情報 米商務省経済分析局「Personal Income and Outlays, August 2026」
  10. 一次情報 Federal Reserve「Federal Funds Rate」
  11. 一次情報 日本取引所グループ「投資部門別売買状況」
  12. 一次情報 日経平均プロフィル「2026年9月25日 日次サマリー」
  13. 一次情報 日経平均プロフィル「2026年10月2日 日次サマリー」
  14. 一次情報 JERA「国家規模のAIインフラ開発の加速に向けた覚書」
  15. 一次情報 BIS Bulletin 90「The market turbulence and carry trade unwind of August 2024」
  16. 一次情報 日本銀行「Economic Activity, Prices, and Monetary Policy in Japan(2022年11月講演)」
  17. 補足情報 Reuters「Micron forecasts quarterly revenue above estimates on AI memory demand」
  18. 補足情報 Reuters「Oil prices and emergency stock release discussions」
  19. 補足情報 Reuters「September LNG shipments through Hormuz hit highest since conflict began」
  20. 補足情報 豊トラスティ「9月4週 投資部門別売買状況」
  21. 補足情報 Reuters「Chipmakers and other high-flying stocks slide as AI trade wobbles」

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