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円高でも買われる株はどれか?注目5選とドル円3シナリオ【9月8日】

MARKET EYE 編集部 2026.09.08 08:24 株式の記事一覧を見る →
円高でも買われる株はどれか?注目5選とドル円3シナリオ【9月8日】

対象:2026-09-08の寄り付き前。株価基準:2026-09-07終値。

円高でも買われる株はある。ただし、同じ上昇でも中身は違います。高値引け、始値を下回る上昇、決算待ち。本日の5選を、為替の3シナリオとともに読み解きます。

円高なのに株高。そのねじれに、本日の見どころがある

「円高なら日本株は下がるはずでは?」。9月7日の相場を見て、そう感じた方もいるのではないでしょうか。日経平均は66,399円84銭、前週末比2.12%高。一方、ドル円は154円台へ円高が進みました。為替と株価が逆方向に動いたというより、円高の逆風を押し返す期待が、一部の株に集まったと見る方が実態に近そうです。

本稿は9月8日(火)の寄り付き前に作成した観察ガイドです。株価は9月7日の東証終値を基準とし、9月8日の値動きや決算への反応を先取りして書いてはいません。注目するのはキオクシアHD、ソフトバンクグループ、フジクラ、萩原工業、アイルの5社。上がりそうな銘柄を並べるのではなく、期待が続く株と、慎重に見極めたい株を分けます。

今回の新しい切り口は、為替の解説そのものではなく、「154円台の円相場を前に、各社のどの価格と材料を確認するか」です。持ち高の詳しい整理はドル円154円台の理由と個人・ファンドの持ち高へ。相場全体を扱う朝刊とは役割を分け、ここでは5社の分岐点を掘り下げます。

出典:幻冬舎ゴールドオンライン 9月7日の日本株

今朝の重要事項:米国休場と国内GDPを取り違えない

確認できた事実として、9月7日の米国株式市場はレーバーデーで休場でした。「昨夜の米国株が上がったから」という説明に使える新しい現物終値はありません。前週末の米株、休場中の先物、為替は、それぞれ取引日時が違います。今朝は日本独自の材料に対して、東京市場が先に答えを出す場面です。

内閣府の予定では、9月8日8時50分に4〜6月期GDPの2次速報が公表されます。GDPは国内で生み出した付加価値を集計した指標です。発表前の本稿では結果を記載せず、消費や設備投資の修正が、企業の稼ぐ力と金融政策への見方をどう変えるかに注目します。強い結果でも、利上げ観測を通じて円高が進めば、株式に一律の追い風とは限りません。

外為どっとコムが9月8日7時7分に公表した市況では、ドル円は154円前半で推移しています。これは同社記事の観測時点の水準であり、リアルタイム価格ではありません。9月7日からの円高局面が続くなか、朝の指標後に154円台で落ち着くのか、さらに円買いが加速するのかを、株の寄り付きと合わせて確認します。

出典:内閣府 GDP公表予定、楽天証券 米国市場休場日、外為どっとコム 9月8日7時7分の為替市況

なぜ円が買われるのか。介入と持ち高は別の話

9月7日のReuters報道では、日銀の政策引き締めを見込む動きや、日本の投資家による海外資金の国内回帰への思惑が、円相場の背景として挙げられています。ただし、報じられた背景と、実際に誰が何円分買ったかは別です。同時刻の投資家別売買を取得できない以上、今回の円高を特定のファンドや個人投資家だけの行動で説明することはできません。

MARKET EYEの分析では、注意したいのは円を売っていた投資家の買い戻しです。円高が進むと損失を抑えるために円を買い、その注文がさらに円高を速めることがあります。これが持ち高調整による増幅です。しかし、短時間の急変だけで買い戻しの規模は分かりません。先物の建玉統計やFX会社の顧客比率も、対象市場と集計日が違い、世界全体の当日の注文を示すものではありません。

「為替介入だったのか」も、値動きの形だけでは断定しません。財務省は介入実績を月次や四半期で公表しています。本稿で確認した資料からは、9月7日の動きに対応する介入の有無を確定できません。介入が確認される場合と、政策見通しや民間の持ち高調整で動く場合では、その後の持続性を考える材料が異なります。噂を事実に置き換えないことが大切です。

出典:Reuters 9月7日の為替市場、財務省 外国為替平衡操作の実施状況

注目分野は3つ。円高への強さを業種名だけで決めない

第一はAI・データセンター関連です。キオクシアは記憶装置、フジクラは通信を支える光配線、ソフトバンクグループは投資先の価値という異なる経路で、AIへの期待とつながります。同じテーマでも、製品価格、受注、投資先評価のどれで利益が動くかは違います。3社のうち1社だけが強いのか、関連分野に買いが広がるのかが、テーマの継続性を見る手掛かりです。

第二は合成樹脂加工などの素材分野です。萩原工業では、円相場だけでなく原材料費と販売価格の関係が重要になります。円高は輸入コストを和らげる方向でも、原料の外貨価格が上がれば効果は相殺されます。第三は企業の業務効率化を支えるIT分野。アイルでは、為替よりも次期の利益計画を市場がどう評価するかが目の前の焦点です。

これは3業種の上昇率ランキングではなく、材料の異なる観察対象の整理です。企業の海外売上だけで円高への弱さを決めるのも早計です。海外の費用、借入、為替予約による影響軽減まで見ないと、利益への正味の影響は分かりません。本稿では各社の「1円の円高で何億円の減益」といった感応度を確認できていないため、数値化していません。

出典:フジクラ データセンタ向けソリューション、ソフトバンクグループ 株主・投資家情報

キオクシアHD:大商いの翌日、59,790円を越えられるか

キオクシアホールディングス(285A)の9月7日終値は59,530円、前週末比9.31%高。始値58,000円、高値59,790円、安値57,650円、出来高3,132万3,500株でした。終値は高値から260円下の位置にあり、取引終了まで比較的高い水準を保ったことが確認できます。これは前日の事実であって、翌日の上昇を保証する形ではありません。

選定理由は、円高局面でもメモリ関連への関心が株価に現れた点です。プラス材料として見るのは、メモリ需要や収益拡大への期待が、円換算の逆風を上回り続ける可能性です。一方、期待が先行する株は、実際の販売価格や需要が追いつかないと評価の見直しが速くなります。本稿では9月7日の上昇を、確認していない新規受注や特定投資家の大量購入に結び付けていません。

継続を確認する最初の価格は前日高値59,790円です。そこを上回っても、すぐ前日終値59,530円を割り込むなら、買いが続いたとは判断しにくくなります。前日安値57,650円を下回り、戻りも鈍い場合は警戒を強める場面です。出来高は前日の一日分を朝の短時間と単純比較せず、価格を保ったまま売買が続いているかを見ます。高い売買関心と、安定した上昇は同じではありません。

出典:Yahoo!ファイナンス キオクシアHD株価、幻冬舎ゴールドオンライン 9月7日の日本株

ソフトバンクグループ:高値引けの強さは本物か

ソフトバンクグループ(9984)は6,217円で終了し、前週末比627円高でした。前週末終値5,590円から計算した騰落率は11.22%。始値5,842円、安値5,814円、出来高8,363万8,700株で、終値6,217円が当日高値でもありました。寄り付きから引けまでの価格差を見ると、5社のなかでも買いの強さが目立つ一日です。

ただし、同社は一般的な輸出メーカーとは違う投資持ち株会社です。AI関連への期待を考える際も、投資先の価値と資金調達の負担を分ける必要があります。海外資産の円換算額には為替が影響しますが、負債や資金管理の影響もあるため、「円高分だけ企業価値が下がる」とは言えません。事業への期待が強くても、その期待に対して株価が先行しすぎれば調整は起こります。

本日の確認点は、6,217円を越えた後にも買いが続くかです。寄り付き直後に高値を付けても、その後売られて前日終値を回復できないなら、利益確定が優勢になった可能性を考えます。さらに前日安値5,814円を下回る動きは、前日の上昇に対する警戒を強める条件です。米国現物市場の休場で、投資先をめぐる評価の更新が限られる朝でもあります。前日の高値引けだけを根拠に、勢いが自動的に続くと考えないようにしたいところです。

出典:Yahoo!ファイナンス ソフトバンクグループ時系列、みんかぶ ソフトバンクグループ株価、ソフトバンクグループ 株主・投資家情報

フジクラ:3.72%高でも、朝より安く終わった理由を考える

フジクラ(5803)は5,241円、前週末比3.72%高でした。ただし、始値は5,300円、高値5,362円、安値5,175円。前週末より上がった一方、当日の始値より59円安く引けています。出来高は3,072万7,300株でした。「上昇銘柄」という一言だけでは、寄り付き後に売りも出たという重要な違いが隠れてしまいます。

同社の公式製品情報には、データセンター向けの高密度な光ファイバケーブルや接続製品が示されています。情報処理量の増加に伴う配線需要は、事業を見るうえで分かりやすい着眼点です。ただし、製品の需要分野が成長していることと、その期待を織り込んだ株価が上がり続けることは別。円高に加え、設備投資計画の見直しや販売条件の変化が懸念材料になります。

MARKET EYEがまず確認するのは、前日始値5,300円を取り戻せるかです。ここを保ち、その後5,362円を越えていくなら、前日に出た売りを吸収した可能性が高まります。反対に5,175円を割り込み、AI関連の他銘柄も同時に弱くなるなら、一社の問題よりテーマ全体の利益確定を疑う場面です。ソフトバンクグループの高値引けと同じ説明を当てはめず、フジクラでは「朝の期待を引けまで保てるか」を重視します。

出典:Yahoo!ファイナンス フジクラ時系列、みんかぶ フジクラ株価、フジクラ データセンタ向けソリューション

萩原工業:経常45%増益を、株価はどう受け止めるか

萩原工業(7856)の9月7日終値は1,901円、前週末比1.22%高。高値1,903円、安値1,876円、出来高21万3,800株でした。9月7日公表の2026年10月期第3四半期決算では、累計売上高が251億1,000万円で前年同期比4.4%増、経常利益は21億5,700万円で45.0%増となりました。一方、純利益は14億9,400万円で4.0%減。利益の項目によって見え方が違います。

前年には補助金による特別利益があったため、最終利益の減少だけで本業が悪くなったとは言えません。他方、経常増益だけを見て上方修正が確実とするのも行き過ぎです。会社の通期経常利益予想22億円は据え置かれています。累計利益が通期計画に近づいていても、残りの期間の費用や業績変動を経営側がどう見ているかを確認する必要があります。

本日の見どころは、決算内容を受けて前日高値1,903円を越え、値を保てるかです。反応が薄い場合は、好業績がすでに期待されていた可能性も考えます。前日安値1,876円を下回るなら、増益という見出しだけで相場を読むのは難しくなります。円高による原料調達面の効果は、価格改定と原料市況を合わせて評価するものです。大型AI株ほど出来高が多くないため、同じ株数の注文でも値が動きやすい点に注意し、気配と実際の約定を区別して見ます。

出典:Yahoo!ファイナンス 萩原工業株価、萩原工業 2026年10月期第3四半期決算短信、萩原工業 第3四半期決算説明資料

アイル:あえて入れる、決算後の慎重観察枠

アイル(3854)は2,336円、前週末比4.30%安。高値2,460円、安値2,335円、出来高22万8,600株でした。安値からわずか1円上で引けており、前日の価格推移は弱い部類です。この銘柄を5選に入れるのは、割安や反発を約束するためではありません。企業の業務システム需要と、利益計画に対する市場の厳しさを見比べるための慎重観察枠です。

9月7日の取引終了後に伝えられた決算では、2026年7月期の経常利益は前期比17.6%増の56億700万円でした。一方、2027年7月期の会社予想は50億4,000万円で10.1%減益。前期の増益と新年度の減益予想が並ぶ内容です。ここで大切なのは時系列です。引け後の発表を、その日の取引時間中の下落原因だったと断定することはできません。

本日は新しい利益予想を受けた最初の通常取引として、売り注文が一巡するかを確認します。前日安値2,335円を下回って始まれば、その価格を回復できるかが最初の目安です。ただし、前日安値は下落を止める保証ではなく、大きく離れて始まれば新しい価格帯の形成を待つ必要があります。増配などの還元材料だけで減益懸念を消さず、売上が伸びても利益が減る理由を会社説明で追うことが重要です。円高なら国内IT株は安心、という選び方が通用するかを問い直す1社です。

出典:Yahoo!ファイナンス アイル時系列、みんかぶ アイル株価、マネックス銘柄スカウター アイル業績、株探 アイル9月7日決算速報

今後の見通し:円高継続・一服・反転の3シナリオ

見通しの対象は9月8日の取引から今週後半までです。基本の見方は、円高が続くかだけでなく、その局面で各社が前日高値・安値にどう反応するかを確かめる選別相場です。以下の154円、155円は観察のための切りのよい水準であり、統計的に算出した支持線や目標値ではありません。到達確率も付けていません。

円高継続のシナリオは、ドル円が154円を下回り、戻しても154円台に定着できない場合です。海外利益の円換算に対する警戒が強まる一方、それでもAI関連3社が値を保てれば、個別の成長期待の強さを測れます。株式に弱気となる条件は、円高加速と同時に3社が前日安値を割り、内需関連にも買いが広がらないことです。

中立のシナリオは、154円台を中心に円相場が一服し、株価が決算や事業材料に反応する場合です。萩原工業とアイルの対照的な利益計画が、選別の手掛かりになります。円高の止まり方が穏やかなら企業材料を評価しやすくなりますが、指数が横ばいでも個別株の振れ幅は大きくなる可能性があります。

円安へ反転するシナリオは、ドル円が155円台を回復して維持する場合です。ただし円安が米金利上昇を伴うなら、成長株の評価には重荷となり得ます。株式に強気となる条件は、円相場の落ち着きに加えて、注目株が確認価格を回復し、関連銘柄にも買いが広がることです。円安だけを株高の合図にしない見方を基本にします。

出典:外為どっとコム 9月8日7時7分の為替市況

今日の確認順と、この記事で分からないこと

朝はGDP公表後の為替反応、寄り付き後は5社の前日終値との位置関係、前場後半は高値更新後に値を保てたかを確認します。大引けでは出来高を一日分で比較します。朝の短時間の出来高を前日の総出来高と比べて「売買が減った」と判断すると、時間の違いを相場の変化と取り違えてしまいます。

米労働統計局の予定では、8月分の米消費者物価指数は9月11日(金)に公表されます。米国の物価と金利の見方が変われば、円相場だけでなくAI関連株の評価も更新されます。前日までの市場環境は9月7日のMARKET EYE朝刊も参照してください。本稿の判断条件は、新しい統計や会社開示が出た時点で見直す前提です。

取得範囲も明確にしておきます。5社共通の20日平均出来高比、当日の投資家別売買、同一基準の長期チャート評価は完全には取得していません。出来高だけで海外ファンドの買いと決めたり、半年や1年の割安感を断言したりはしません。株価と出来高はYahoo!ファイナンス、みんかぶ等で確認し、騰落率は前営業日終値から小数第2位に丸めています。

最後に、AI関連3社を並べてもリスクが分散したことにはなりません。同じ投資テーマへの期待が崩れれば、同時に下がることがあります。今日知りたいのは「何を買えば必ず上がるか」ではなく、「どんな変化が出たら見方を変えるか」。強い株の強さが続く場面も、見送る理由がはっきりする場面も、次の判断に役立つ情報です。

出典:BLS 消費者物価指数公表予定

情報源・参考資料

  1. 補足情報 Yahoo!ファイナンス キオクシアHD株価
  2. 補足情報 Yahoo!ファイナンス ソフトバンクグループ時系列
  3. 補足情報 Yahoo!ファイナンス フジクラ時系列
  4. 補足情報 Yahoo!ファイナンス 萩原工業株価
  5. 補足情報 Yahoo!ファイナンス アイル時系列
  6. 補足情報 みんかぶ ソフトバンクグループ株価
  7. 補足情報 みんかぶ フジクラ株価
  8. 補足情報 みんかぶ アイル株価
  9. 補足情報 幻冬舎ゴールドオンライン 9月7日の日本株
  10. 一次情報 萩原工業 2026年10月期第3四半期決算短信
  11. 一次情報 萩原工業 第3四半期決算説明資料
  12. 補足情報 マネックス銘柄スカウター アイル業績
  13. 補足情報 株探 アイル9月7日決算速報
  14. 一次情報 フジクラ データセンタ向けソリューション
  15. 一次情報 ソフトバンクグループ 株主・投資家情報
  16. 補足情報 外為どっとコム 9月8日7時7分の為替市況
  17. 補足情報 Reuters 9月7日の為替市場
  18. 一次情報 財務省 外国為替平衡操作の実施状況
  19. 一次情報 内閣府 GDP公表予定
  20. 一次情報 BLS 消費者物価指数公表予定
  21. 補足情報 楽天証券 米国市場休場日

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