本文へ移動
MARKET EYE MEDIA
世界の市場を、シンプルに、深く。
新着・定番を自動選定PICK UP 5 →
ホーム›コモディティ›金4,283ドルからどう動く?9月28日週の貴金属価格・米PCE・雇用統計と3つのシナリオ
コモディティ

金4,283ドルからどう動く?9月28日週の貴金属価格・米PCE・雇用統計と3つのシナリオ

MARKET EYE 編集部 2026.10.02 08:18 コモディティの記事一覧を見る →
金4,283ドルからどう動く?9月28日週の貴金属価格・米PCE・雇用統計と3つのシナリオ

2026年9月28日週 貴金属の価格と重要予定

金4,283ドル付近から、PCEと雇用統計でどちらへ動くか

先週は安全資産を求める買いより、ドル高と米金利上昇の圧力が優勢でした。今週は9月30日の米PCE、10月2日の米雇用統計を通じて、金・銀・白金族の反発に根拠が付くかを確かめます。

金価格は「戦争が心配だから上がる」と決まるわけではありません。中東の供給不安が原油高を招き、米国の物価と金利を押し上げれば、利息を生まない金には逆風にもなります。9月25日までの一週間は、まさにこの綱引きが表れました。9月28日から10月2日の週は、米国の物価と雇用の数字が、そのどちらの力を強めるのかを確認する時間です。

まず価格の基準を明確にします。以下の現物価格は、ロイターが伝えた9月18日と25日の米東部時間午後2時すぎの確認値です。取引所の公式な週末清算値ではなく、ほぼ同じ時間帯で比べた参考値です。9月25日朝の記事は24日の米市場終了後に近い値を使っているため、本稿とは時点が異なります。値が違うことを相場の急変と取り違えないようにしてください。

📊 9月18日から25日、4金属はどう動いたか

ロイターの同じ午後の時間帯を比較、単位は1トロイオンス当たり米ドル

金:4,390.11ドル → 4,282.98ドル、約2.4%下落

銀:66.70ドル → 64.26ドル、約3.7%下落

プラチナ:1,812.50ドル → 1,780.28ドル、約1.8%下落

パラジウム:1,310.20ドル → 1,270.30ドル、約3.0%下落

この騰落率は、上の二時点だけから計算したもので、各市場の週間騰落率とは一致しない場合があります。それでも、銀とパラジウムの下げが金より大きいことは見て取れます。銀は安全資産と工業原料の両面を持ち、パラジウムは自動車の排ガス浄化装置の需要に左右されます。金利上昇に加えて、景気と工業需要の見通しも気になる局面では、金と同じ動きに収まらないのです。

金は9月21日に4,349.94ドル、25日には4,282.98ドルでした。週初に先週末の4,390ドル台を維持できず、週末には4,300ドルを下回る水準で取引された、という流れです。ただし25日の金は同日の取材時点で前日比小幅高でした。週間で下がったことと、金曜日だけは持ち直したことは両立します。来週の焦点は、その日々の買い戻しが金利の変化を伴って続くかです。

💰 金4,283ドル付近、なぜ危機があっても重いのか

米10年国債利回りは9月18日の5.01%から、24日に5.18%へ上がりました。米10年の物価連動国債から見た実質金利も2.68%から2.85%へ上昇しています。実質金利は物価の影響を考慮した利回りの目安です。国債で得られる実質的な利回りが増すと、保有するだけでは利息を生まない金を持つ機会費用が大きくなります。これらは米連邦準備制度のデータをセントルイス連銀が掲載した9月24日付の値であり、25日の終値と混同しません。

米連邦準備制度は9月の会合で政策金利を引き上げました。市場は追加利上げの可能性を警戒していますが、その見方は今週の指標で変わり得ます。米PCE物価が強ければ金利がさらに上がり、ドルも強含んで金を押さえやすい。一方で物価が落ち着き、実質金利が下がるなら、先週の売りを戻す余地が生まれます。物価が高いと金が必ず上がる、という単純な関係ではない理由です。

長い目では支えもあります。世界黄金協会によると、8月の世界の現物裏付け金ETFには180億ドルが流入し、保有量は121トン増えました。ETFは金を裏付けにした上場商品です。まとまった投資需要が確認できる一方、この月次統計だけで今週の一日ごとの上昇を予言することはできません。新しいETF資金フローと価格、金利が同じ方向を向くかを見ます。

🥈 銀は64ドル台、反発に銅の裏付けがあるか

銀は9月18日の66.70ドルから25日の64.26ドルへ下落しました。24日の米市場終了後に近い確認値は63.78ドルです。日付と時刻を並べると、週の後半に一度64ドルを割り込み、金曜日の午後には64ドル台へ戻した形です。安値を付けた時刻や週の高安全体は、この二つの確認値だけからは確定できません。

銀には太陽光パネル、電子部品、電力設備などの工業用途があります。金が戻っても銀だけが低迷するなら、投資家の安全資産選好はあっても、工業需要への自信はまだ弱いのかもしれません。銀と銅が同時に持ち直し、米製造業指標も改善すれば、値上がりを金属全体の需要回復と結び付けやすくなります。逆に銀と銅がそろって下がる場合は、金利の逆風に景気敏感な需要の懸念が重なります。

先物の持ち高も確認します。米商品先物取引委員会の9月22日時点の報告では、COMEX銀先物の非商業部門は買い3万4,701枚、売り9,257枚で、差し引き2万5,444枚の買い越しです。前週比では買いが694枚減り、売りも812枚減りました。差し引きの買い越しは118枚増えた計算ですが、積極的な新規買いだけで膨らんだとは言えません。銀の上昇を見たときは、価格に加えて買い・売り・総建玉の変化を追う必要があります。

同じ報告の金は非商業部門の買い25万3,982枚、売り2万8,129枚で、差し引き22万5,853枚の買い越しでした。前週より4,485枚減っています。報告の基準日は9月22日で、25日の値動きはまだ含みません。したがって、この数字から「金曜日の買い戻しの正体」までは分かりません。次に出る報告で、買い越しが減り続けるのか、価格の持ち直しとともに買い建玉が増えるのかを比べます。

⚙️ プラチナとパラジウムは同じ白金族でも条件が違う

プラチナは25日の午後に1,780.28ドルでした。世界白金投資協議会は2026年通年で26万5,000オンスの供給余剰を予測しています。一方、過去数年の供給不足で地上在庫は減っています。余剰予測がすでに価格へ織り込まれていれば、ETF流出の鈍化や南アフリカの鉱山供給の変化で反発する可能性もあります。まずは9月18日の1,812.50ドルを回復できるか、戻しても再び1,780ドル付近に押し戻されるかを見ます。

パラジウムは1,270.30ドルで、18日の1,310.20ドルより低い水準です。ガソリン車の排ガス浄化触媒が主用途であり、電気自動車への移行やプラチナへの代替は需要面の重荷です。その反面、供給はロシアと南アフリカに偏ります。現実の供給障害があれば価格が動く一方、金が安全資産として買われただけでは、パラジウムに同じ規模の買いが及ぶとは限りません。

この二つは米雇用統計だけでなく、10月1日の米製造業景況感も重要です。製造業が強くても金利が跳ね上がれば投資資金には逆風、景気が急に弱くなれば工業需要には逆風という二面性があります。価格の上昇だけを見て「需給が好転した」とせず、自動車や工業の材料と金利の反応を組み合わせます。

🛢️ 原油とドル円は日本で見る金価格を変える

中東ではホルムズ海峡の輸送と、サウジアラビアの東西パイプラインの稼働が引き続き焦点です。供給回復への期待で原油が下がれば、米インフレと長期金利を通じて金への重荷が軽くなることがあります。ただし、単に地政学的な恐怖が後退すれば安全資産需要も弱まります。攻撃や供給停止で原油が急騰した場合も、金の逃避買いとインフレによる金利上昇という、方向の異なる二つの力が同時に働きます。

日本で金を買う人には為替も欠かせません。ドル建て金が下がっても円安ドル高なら、円換算の下げ幅は小さくなります。反対にドル建て金安と円高が重なれば、国内の円建て金価格は大きく下がり得ます。本稿の4,283ドルという参考値を、そのまま国内小売価格の前日比に置き換えることはできません。円建ての現物や積立の動きは、同じ時刻のドル円と販売・買取の価格差を確認します。

📅 9月28日週の重要予定と見る順番

9月29日(火)日本時間23時:米8月の求人労働異動調査(JOLTS)。求人と離職の動きが雇用の過熱や減速を示します。求人数だけでなく採用、自己都合退職の変化にも注目です。米労働統計局の予定は米東部時間午前10時です。

9月30日(水)日本時間21時30分:米8月の個人所得・個人消費支出と、その中のPCE物価指数。FRBの物価判断に直接関わる指標です。同時刻に4~6月期GDPの3次推計も予定されています。今回は年次改定も伴うため、前月の値が改定されたかを新しい8月の数字と併せて確認します。

10月1日(木)米東部時間午前10時:米9月ISM製造業景況指数。日本時間では23時です。新規受注と支払価格を分けて見ると、銀・プラチナの工業需要期待と、金へのインフレ・金利の影響を整理しやすくなります。

10月2日(金)日本時間21時30分:米9月雇用統計。非農業部門雇用者数、失業率、平均時給に注目です。米労働統計局が米東部時間午前8時30分の公表を予定しています。強い雇用が賃金インフレへの懸念を強めるか、弱い雇用が金利を押し下げるかで、週末の金属価格の読みが変わります。

今週の米東部は夏時間なので、午前8時30分が日本時間21時30分、午前10時が23時です。各予定は9月27日時点の公表日程であり、変更があれば発表元の予定を優先します。指標の結果よりも、その後にドル、米長期金利、実質金利がどう動いたかまで確認して、値動きの理由を取り違えないようにします。

🔍 金価格の3つのシナリオ、どこで見方を変えるか

反発が続く場合:PCEの伸びが市場の予想より落ち着き、米10年債と実質金利が9月24日の5.18%、2.85%から低下し、ドル高も一服する組み合わせです。金が9月25日の4,282.98ドルから4,300ドルを回復し、9月21日の4,349.94ドル、その先で18日の4,390.11ドルに近づくなら、先週の下落からの修復が進んだと見ます。これらは過去の確認値を使った観察点であり、目標価格や到達予測ではありません。

方向が定まらない場合:PCEが強くても雇用が弱い、または原油安とドル高が同時に進むような組み合わせです。金が4,300ドル近辺を行き来する一方、実質金利が高止まりするなら、短期の買い戻しと基調的な反発をまだ区別できません。銀が64ドル台に戻っても銅や製造業指標が弱いなら、工業需要の改善という判断を保留します。

下押しが続く場合:PCEと雇用がともに強く、追加利上げ警戒からドルと実質金利が上がる組み合わせです。金が24日の4,274.10ドルを下回って戻せず、銀も同日の63.78ドルを下回るなら、25日の反発は持続しなかったと判断します。プラチナが24日の1,755.60ドル、パラジウムが同日の1,261.00ドルを下回る場合は、白金族にも売りが広がったかを確認します。これらも保証された下値や売買価格ではありません。

銀の反発シナリオでは、25日の64.26ドルを上回るだけでなく、18日の66.70ドルに向かう間に銅と米製造業の数字がついてくるかを見ます。プラチナの1,780.28ドルから1,812.50ドル、パラジウムの1,270.30ドルから1,310.20ドルも、過去の二時点を結んだ比較です。金だけが先に反発して、ほかの三つが前週の水準を回復できなければ、貴金属全体の需要が戻ったという説明は早すぎます。反対に金利が落ち着き、銀・白金族も戻るなら、資金が幅広く戻っていると考える根拠が増えます。

今後の見通し

対象期間:2026年9月28日(月)から10月2日(金)。

確認済みの事実:9月18日と25日の米東部時間午後の比較では、金・銀・プラチナ・パラジウムがそろって下落しました。米10年債と実質金利は18日から24日に上昇。25日午後の現物金は4,282.98ドルでした。

MARKET EYEの基本的な見方:週前半は方向を決め打ちせず、先週の金利上昇圧力がPCEと雇用統計で変わるかを待ちます。月次の金ETF買いは中期の支えですが、短期の価格はドルと実質金利に敏感です。銀と白金族は工業需要も同時に確かめます。

好転条件:金が4,300ドルを回復し、ドルと実質金利が低下すること。銀は64ドル台を保ち、銅や製造業の指標も改善すること。プラチナ・パラジウムは9月18日の水準へ戻す過程で、自動車・工業需要や供給の裏付けを確認することです。

悪化・見直し条件:強いPCE・雇用を受けて実質金利が9月24日の2.85%を超えて上昇し、金が同日確認の4,274.10ドルを割って戻せない場合。銀と銅が同時に下げる場合は、工業需要への懸念を重く見ます。

次の確認:9月29日23時のJOLTS、30日21時30分の米PCEとGDP、10月1日23時のISM製造業、2日21時30分の米雇用統計。時刻は日本時間です。発表後の米10年債・実質金利・ドル・原油と金属4種を並べます。

前週の安全資産需要と中東要因は金4,390ドル・銀3.3%高|リヤド攻撃と原油104ドル後の貴金属見通しで整理しました。長期的な中央銀行の金保有の背景は中国はなぜ米国債を売ってゴールドを買う?ドル危機・金融制裁との関係を解説をご覧ください。本稿では、その後に起きた金属4種の下落と、今週の指標を通じた条件の変化に焦点を絞っています。

今週は「金が上がったか」だけでは足りません。金利低下を伴う上昇か、地政学ニュースだけによる一時的な買いか。銀や白金族にも買いが広がるか。価格と原因を一緒に見ることで、次の週へ持ち越せる動きと短い戻りを区別しやすくなります。

本記事は公開情報を基にした市場分析です。価格は取得時刻と市場により異なり、予測は結果を保証しません。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

情報源・参考資料

  1. 補足情報 Reuters|2026年9月18日午後の貴金属価格
  2. 補足情報 Reuters|2026年9月25日午後の貴金属価格
  3. 一次情報 FRED|米10年国債利回り DGS10
  4. 一次情報 FRED|米10年物価連動国債実質金利 DFII10
  5. 一次情報 CFTC|2026年9月22日時点COMEX金・銀先物建玉
  6. 一次情報 World Gold Council|2026年8月の金ETF資金流入
  7. 一次情報 WPIC|Platinum Quarterly
  8. 一次情報 BLS|JOLTS発表予定
  9. 一次情報 BEA|米PCE・GDP発表予定
  10. 一次情報 ISM|製造業景況指数の発表予定
  11. 一次情報 BLS|2026年10月の米雇用統計発表予定

リンク先の更新・訂正により、閲覧時点の内容が記事作成時点と異なる場合があります。