日経平均882円高の裏で64%が下落。日銀利上げ後の本当の強さと9月24日の注目3銘柄

対象日:2026年9月18日 | 情報確認:2026-09-18T17:21:43+09:00 JST
2026年9月18日 日本株大引け
日経平均は882円高。
それでもプライム市場の64%は下落した
日銀が政策金利を1.25%へ引き上げた後、円安と半導体株高を追い風に日経平均は6万5,000円台を回復しました。ただしTOPIXは反落。指数の華やかな上昇と、個別株の弱さが同居した一日です。5連休明けの9月24日に見る3銘柄と、上昇が本物へ変わる条件を整理します。
9月18日の東京株式市場は、日経平均だけを見れば強い一日でした。終値は65,018円95銭。前日比882円70銭高で3日続伸し、日銀の金融政策決定会合後には一時65,436円57銭まで上昇しました。前日終値からの上昇幅は最大1,300円32銭です。
ところが、TOPIXは0.07%安。東証プライム市場では値下がりが1,003銘柄に達し、値上がり511銘柄のほぼ2倍でした。日経平均は大幅高なのに、市場の約64%が下落しています。この日の核心は、日本株全体が一斉に買われたのではなく、指数への影響が大きい半導体株へ資金が集中したことです。
日銀は政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げました。通常なら金利上昇で円高、銀行株高を想像しやすい場面ですが、実際には円が1ドル157円台へ下落し、銀行株も売られました。利上げそのものより、7対2の採決で2人が据え置きを主張し、次の利上げを急がないとの見方が広がったためです。18日の相場は「利上げしたから何が上がるか」ではなく、市場が事前に何を織り込み、決定後に何を修正したかを読む必要があります。
9月18日の大引けを数字で確認
65,018.95円
+882.70円
4,091.14
-3.05
28億6,228万株
10兆3,969億円
日経平均の始値は64,681円55銭、高値は65,436円57銭、安値は64,403円85銭でした。前場は日銀会合を待ちながら上昇し、結果公表後の12時49分に高値をつけました。その後は高値から417円62銭押し戻されましたが、終値では65,000円台を保っています。
プライム市場の騰落は、値上がり511、値下がり1,003、変わらず40。値上がり比率は約32.9%、値下がり比率は約64.5%です。東証33業種は上昇17、下落16でほぼ拮抗しました。上昇上位は機械、空運、パルプ・紙。下落側は保険、銀行、水産・農林でした。グロース市場250指数は808.98で2.49%高となり、成長株の一部には買いが広がっています。
売買代金が10兆円を超えたのは、日銀会合に加え、株価指数の構成銘柄入れ替えに伴う売買も重なったためです。商いの大きさは注目度の高さを示しますが、必ずしも長期資金が一方向に入ったことを意味しません。連休明けには、イベント要因を除いても売買が続くかを確かめる必要があります。
日銀は1.25%へ利上げ。それでも円安になった理由
日本銀行は無担保コール翌日物金利の誘導目標を1.00%程度から1.25%程度へ引き上げました。31年ぶりの高水準です。決定は7対2で、浅田統一郎委員と佐藤綾野委員が据え置きを主張しました。市場では0.25ポイントの利上げが広く予想されていたため、決定そのものに驚きはありませんでした。
為替市場が注目したのは、2人の反対票と、次の利上げを急ぐ強い合図がなかったことです。ドル円は発表後に156円台後半から157円台へ円安が進みました。利上げは本来、円の金利を高めるため円買い材料です。しかし、米国の政策金利は3.75%から4.00%で、日本との金利差はなお大きく残ります。さらに「今回の後は慎重に進む」と受け止められれば、円を急いで買う理由は弱くなります。
用語解説:材料出尽くし
大きな材料が発表されても、事前に予想されていれば価格へ織り込まれていることがあります。発表後に予想を超える新情報がなければ、材料を見越して持っていたポジションが解消され、予想と反対方向へ動くことがあります。18日の円安と銀行株安は、その典型に近い動きでした。
植田和男総裁は、基調的な物価上昇率が2%へ近づき、政策の局面が変化したと説明しました。一方、今後のタイミングとペースは見通しの確度やリスクを点検しながら検討する姿勢です。家計にとっては預金金利の上昇余地がある一方、住宅ローンや企業借入の金利も上がりやすくなります。銀行には利ざや改善の機会がありますが、債券価格の下落や借り手の負担増もあるため、利上げを単純な銀行株高と結びつけることはできません。
882円高でも「全面高」ではない
日経平均とTOPIXの差を生んだのは、半導体株です。キオクシアホールディングスは9.40%高、アドバンテストは5.99%高。東京エレクトロンやレーザーテック、村田製作所にも買いが入りました。日経平均は株価の高い銘柄の影響を受けやすいため、値がさ半導体株の上昇が指数を強く押し上げました。
一方、時価総額加重型のTOPIXは小幅安です。トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、伊藤忠商事など、時価総額の大きい主力株に売りが出ました。プライム市場の値下がりが多かったことも合わせると、18日の6万5,000円回復は、市場全体の体温より日経平均の数字が高く見えたと整理できます。
これは直ちに弱気材料という意味ではありません。半導体株が先導し、その後に輸出、金融、内需へ買いが広がれば、相場の裾野は改善します。問題は、半導体だけが上昇を続け、他業種の下落が増える場合です。連休明けは日経平均の水準だけでなく、TOPIX、騰落銘柄数、33業種の広がりを同時に確認する必要があります。
海外市場・金利・原油が日本株へ与えた影響
前日の米国市場では、ダウ工業株30種平均が316ドル高、S&P500が1.1%高、ナスダック総合が1.7%高となりました。原油価格の下落でインフレへの警戒がやや和らぎ、ハイテク株が反発したことが東京市場の半導体株高につながりました。韓国のKOSPIも2%を超えて上昇し、アジアのテクノロジー株へ買いが広がりました。
米10年国債利回りは一時5%を超えた後、4.93%台へ落ち着きました。高い金利は将来利益の現在価値を小さく見せるため、成長株には本来逆風です。それでも半導体株が上昇したのは、直前までの下落に対する買い戻しと、AI・メモリー需要への期待が金利負担を上回ったためと考えられます。連休中に米金利が再び5%を明確に上回るなら、18日の反発をそのまま延長して考えるのは危険です。
ブレント原油は103ドル台へ下落しました。中東情勢は緊張が続いていますが、中国がイランに対し、フーシ派の攻撃抑制へ働きかけたとの報道で供給懸念がやや後退しました。原油安は資源株には逆風ですが、航空、陸運、化学、小売など燃料・物流コストを負担する企業には追い風です。金は4,360ドル前後、ドル円は157円前後で推移し、安全資産需要と金利上昇の綱引きが続いています。
前日の注目3銘柄から見えた変化
9月17日の大引け記事では、任天堂、三菱UFJ、東京エレクトロンを日銀会合前の確認候補としました。18日は東京エレクトロンが半導体株高に乗る一方、三菱UFJは利上げ決定後も下落し、任天堂も軟調でした。日銀会合を境に、ゲーム・IPから半導体へ資金が戻り、金融株では期待の反動が出ています。
ここで重要なのは、前日の強い銘柄を機械的に追わないことです。ランキングや出来高上位そのものは別記事で確認し、この大引け総合ではなぜ資金の向きが変わったのか、次営業日に何を確認すれば変化が続いたと判断できるかに絞ります。
9月24日の注目1:キオクシアホールディングス(285A)
キオクシアホールディングスは54,570円で引け、前日比4,690円高、9.40%上昇しました。始値50,800円、安値50,600円、高値54,570円で、高値引けです。出来高は3,447万5,500株、売買代金は1兆8,188億円に達しました。18日の半導体株高を象徴する銘柄です。
9月11日終値54,030円と比べると週間では約1%高にとどまり、その間に大きく下落してから戻しています。年初来高値112,700円に対しては半値以下で、日足では急反発、週足では荒い往来、年初来では高値から調整した位置です。信用買い残は9月11日時点で1,394万3,000株、信用倍率は19.97倍。戻り局面では信用買いの売りが出やすい点を忘れられません。
9月24日の確認条件
上昇継続:54,570円を上回った後も維持し、アドバンテストや東京エレクトロン、村田製作所にも買いが続く。出来高を伴って半導体全体が上昇する。
失速・反落:18日安値50,600円を割り、米長期金利上昇や海外半導体株安と同時に売られる。高値引け後の利益確定が広がる。
キオクシアが強さを保てば、NANDフラッシュ、半導体製造装置、電子部品へ資金が波及する可能性があります。ただし、一社だけが上がる場合は個別の買い戻しにすぎません。関連株の同時性が、日経平均の6万5,000円台定着を判断する鍵です。
9月24日の注目2:三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
三菱UFJは3,620円、前日比32円安、0.88%下落しました。始値3,649円、高値3,667円、安値3,586円、出来高5,133万3,500株、売買代金1,859億円です。政策金利が1.25%へ上がったにもかかわらず下落したことで、日銀会合の「材料出尽くし」を測る代表銘柄になりました。
年初来高値3,813円から約5%下の位置にあり、中長期では高値圏です。一方、9月11日終値3,661円からは約1.1%下落しました。信用買い残は3,617万5,700株、信用倍率は21.09倍で、買い残の多さが上値を重くする可能性があります。利上げによる収益改善期待は消えていませんが、短期の期待が先行していた分、次の材料を待つ局面です。
9月24日の確認条件
上昇継続:18日高値3,667円を回復し、三井住友FG、みずほFG、保険株も反発。国内長期金利が混乱なく推移し、金融株へ買いが戻る。
失速・反落:18日安値3,586円を割り、銀行株全体の値下がりが続く。債券市場の変動や信用買いの解消が強まる。
銀行株の反発が確認できれば、日銀会合後の売りは短期的な利益確定だったと判断しやすくなります。反対に銀行株が弱いままなら、利上げの恩恵より、今後の貸出需要や債券評価への警戒が上回っている可能性があります。不動産、保険、証券への波及も合わせて確認します。
9月24日の注目3:トヨタ自動車(7203)
トヨタ自動車は3,025円、前日比9円安、0.30%下落しました。始値3,043円、高値3,051円、安値2,999円、出来高4,656万8,200株、売買代金1,406億円です。日銀会合後にドル円が157円台へ円安へ動いたにもかかわらず、株価は上昇しませんでした。
9月11日終値3,031円からはほぼ横ばいで、年初来高値4,000円と安値2,686円の間では下寄りにあります。信用買い残は1,723万9,000株、信用倍率は6.57倍です。円安は海外利益の円換算には追い風ですが、関税、販売台数、原材料費、北米の採算など複数の要因があり、為替だけでは株価が決まりません。18日の反応の鈍さは、輸出株全体の広がり不足を示しました。
9月24日の確認条件
上昇継続:18日高値3,051円を超え、ホンダやSUBARU、デンソーなど輸送用機器にも買いが広がる。円安が続いても金利上昇が自動車需要を傷めないとの見方が優勢になる。
失速・反落:2,999円を割り、輸送用機器が業種全体で下落。円安でも買われない状態が続き、海外需要やコストへの警戒が強まる。
トヨタが戻れば、日経平均を押し上げた半導体から、時価総額の大きい輸出株へ資金が広がったと確認できます。戻れなければ、日経平均の上昇は依然として狭い範囲に偏っている可能性があります。
注目セクターは半導体と金融、その間を埋める輸出株
9月24日は、半導体、金融、輸送用機器の三つを組み合わせて見ます。半導体は指数を押し上げる先導役、金融は日銀利上げの実体経済への伝わり方、輸送用機器は円安が企業利益へ波及するかを映します。この三方向が同時に上昇すれば、18日の「日経平均だけが強い」状態から、市場全体へ買いが広がったと判断しやすくなります。
反対に、半導体だけが高く、銀行と自動車が下落するなら、TOPIXと騰落銘柄数は改善しにくいでしょう。5連休中には米国市場が複数回開き、米金利、原油、中東情勢、海外半導体株が動きます。24日の寄り付きは18日の国内材料だけでなく、連休中に積み上がった海外材料をまとめて反映するため、価格が飛ぶ可能性があります。寄り付きの値段だけで方向を決めず、前場の出来高と業種の広がりを確認することが重要です。
今後の見通し
MARKET EYEの分析|対象期間:9月18日大引け後から9月24日
基本的な見方:日経平均の6万5,000円回復は半導体株の急反発に支えられました。TOPIXの反落と値下がり1,003銘柄を踏まえると、現時点では市場全体の上昇へ移行したとは判断しません。日銀会合通過の安心感はプラスですが、連休中の海外市場を挟むため、24日まで方向を固定しない見方が妥当です。
好転する条件:日経平均が18日高値65,436円57銭を上回り、TOPIXも18日の下落分を回復すること。値上がり銘柄数が値下がりを上回り、半導体だけでなく銀行、自動車、内需へ買いが広がること。ドル円と国内金利が急変せず、売買代金を伴うこと。
悪化・見直し条件:日経平均が18日安値64,403円85銭を割り、TOPIXとグロース250も同時に下落すること。米10年国債利回りが再び5%を明確に上回り、半導体株の反発が失速すること。円安でも自動車株が買われず、銀行株の下落が続く場合は、イベント通過による一時的な買い戻しとの見方を強めます。
次に確認する予定:東京株式市場の次営業日は9月24日です。9月19日から23日までの間に、米国株、米10年債利回り、ドル円、ブレント原油、海外半導体株の変化を確認します。24日は日経225先物、寄り付き後の騰落銘柄数、銀行・自動車・半導体の同時性を優先します。
まとめ
- 日経平均は65,018円95銭、882円70銭高。日銀会合後に一時1,300円32銭高まで上昇した。
- TOPIXは0.07%安。プライム市場では値下がり1,003銘柄、全体の約64.5%を占めた。
- 日銀は政策金利を1.25%へ引き上げたが、2人の反対票と慎重な利上げ観測で円は157円台へ下落した。
- 資金は半導体へ集中し、銀行、自動車などの主力株には広がらなかった。
- 9月24日の注目はキオクシア、三菱UFJ、トヨタ。三業種の同時性が相場の広がりを測る。
前営業日の資金移動と日銀会合前の確認条件は日経平均は一時720円高から213円高|9月17日大引けと注目3銘柄、原油と金利が日本株へ与える影響は金4,363ドルと原油108ドル|FOMC週の貴金属見通しで整理しています。
本記事は公表情報を基にした市場解説であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価、為替、金利、商品価格は取得時刻と市場により変動します。
情報源・参考資料
- 一次情報 日本取引所グループ:株式・債券市況
- 一次情報 日経平均プロフィル:指数情報
- 一次情報 日本銀行:金融政策決定会合の決定内容
- 一次情報 日本銀行:金融政策決定会合の日程
- 一次情報 キオクシアホールディングス:IR情報
- 一次情報 三菱UFJフィナンシャル・グループ:IR情報
- 一次情報 トヨタ自動車:投資家情報
- 補足情報 Reuters:9月18日の東京市場大引け
- 補足情報 Reuters:日銀が政策金利を1.25%へ引き上げ
- 補足情報 Reuters:日銀会合後の為替市場
- 補足情報 Reuters:9月18日の世界市場
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス:キオクシアホールディングス株価
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス:三菱UFJフィナンシャル・グループ株価
- 補足情報 Yahoo!ファイナンス:トヨタ自動車株価
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